2019年8月に国内でも発売が開始されたAppleのスマートスピーカー「HomePod」。待望のアップル謹製ガジェットの実力を家電批評が本音レビュー。はたしてHomePodは「買い」なのか?
阿部 淳平/Test by 家電批評編集部
はたしてHomePodは「買い」なのかその実力を徹底検証しました!
発表から早2年、米国発売からも約1年半。ようやく日本での発売が開始されたAppleのスマートスピーカー「HomePod」。
すでに市場にはスマートスピーカーが溢れるなか、果たしてHomePodは買いなのか。気になるポイントをテストしてみました!
Apple
HomePod
実勢価格:3万6080円
サイズ:Φ142×172mm
質量:2.5kg
システム要件:iOS 12以降が動作するiOSデバイス
オーディオ:ウーファー、ツイーター(7アレイ構成)、自動低音調整用の低周波キャリブレーションマイク搭載、Siri用のマイク(6基構成)
スマートスピーカーとしては「正直微妙」ですが音楽用スピーカーとしては「買い」でした
いきなりですが、結論から発表しちゃいます。
テストしてわかったHomePodの最大の魅力は、iOSとの相性と音質の良さです。
天面の大型ウーファーや、360度囲むように配置された7つのツイーターなど、音質面にはAppleらしいこだわりを感じることができ、検証したプロも絶賛の品質でした。
一方で、対応するアプリやスマート家電が少なさや、音楽サービスもApple Musicにしか対応していない点は残念。
それと、間違いやすいのは、昨今のBluetoothスピーカーのように、当然スマホとBluetoothで繋げられるようなイメージがしますが、HomePodはできません。
スペックを見ると「ワイヤレス:Bluetooth 5.0」と書かれているので、当然「Bluetoothスピーカー」だと勘違いしますが、これはiOS機器とのセットアップ用となりますので、注意が必要です。
ワイヤレス接続は、Wi-Fi経由のAirPlay 2を利用します。
そういう意味では、普段から「iOS端末+Apple Music」を使っていない人には、HomePodはオススメできません。
では、それぞれのテスト結果を紹介していきます。
Amazon EchoやGoogle Homeと違いApple専用品なのがポイント
先行するAmazon、Googleの2社は、自社以外のサービスも積極的に取り入れ、ユーザの環境にスマートスピーカーを合わせていく戦略。
対してAppleは、ハードウェアこそ外部と連携はするものの、サービスは一貫して自社に限定しています。
HomePod単体で使えるのはApple Musicだけです。ただし、iOS端末+AirPlay 2を使えば、Spotifyなどの音楽サービスも聴くこと自体は可能です。
【他のスマートスピーカーとはここが決定的に違います】
・セットアップにはアップル製品が必要
・Wi-Fiスピーカーとして使う方法はあるが限定的
・Bluetoothスピーカーとしては動作しない
最初のセットアップにはiPhoneまたはiPadが必要で、Android端末やPCでは行うことができません。
また、前述の通り、外部入力やBluetooth機能がないため、ワイヤレススピーカーとして使用する際には、Wi-Fi上で音楽再生を行うAirPlay 2という機能が必要など、まさにApple専用仕様になっています。
最大のウリの音質と自動補正の賢さはプロも納得の品質でした
3万円台のスピーカーとなると、やはり音質は気になるところ。今回は、オーディオライターの高橋敦氏に、過去のワイヤレススピーカーのテストで高評価だった「Sonos One」と聴き比べてもらいました。
SONOS(※画像右)
SonosOne
実勢価格:2万5704円
サイズ:W119.7×H161.45×D119.7mm
重量:1.85kg
無線LAN:IEEE802.11b/g
音質としては、SONOSの方がやや重心が高く、クラブ系のシンセベースや、ジャズの多弦ベースなどの低い弦が出す帯域は、HomePodの方が表現できていました。
またバランスも、SONOSの方はベースに対してボーカルやギターの存在感がやや薄く感じましたが、HomePodはすべての楽器が濃いめで厚みがあり、がっしり感があります。
音の反響が大きい地下室と、家具や机があるオフィスの2カ所で試聴。地下で大きめだった低音は、オフィスではほど良くなじみました。
その他、HomePodの特徴をまとめました。
【HomePodの特徴】
・全方位に音が広がる
・部屋に合わせて音質を自動で補正
・低音の表現力が高い
HomePodのウリは環境に合わせた音質の自動補正機能です。
360度全方位に音を出し、壁の反射なども含めて補正をしてくれるので、部屋のどこにいても一定の高音質で楽しめます。本棚の上など、部屋の空きスペースに気軽に設置できるのが◎。
一方、SONOSの特徴はと言いますと…
【SONOSの特徴】
・音が鳴るのは正面
・置き場所を変えると再び設定が必要
・同じ場所で聴く人向き
セットアップはHomePodより複雑です。部屋の大きさや設置場所にあわせて音質を調整する機能もありますが、全自動で行うHomePodと異なり、ユーザーがスマートフォンのアプリでスピーカーからでる音を計測する必要があります。
日本語対応したばかりですが認識精度はまったく問題ありません
日本語対応をして日が浅いHomePod。
続いては、その実力を探るべく、日本語の認識を試してみました。
思いつくまま曲名と歌手名(略称含む)をぶつけたところ、ほぼ認識。まったく問題ありませんでした。
HomePodのマイク性能を、ほかのスマートスピーカーと比較しましたが、「Hey, Siri」の感度も良好でした。
PCの読み上げ機能を使い、1m離れた距離から音量を10%ずつ上げ、「今日の天気は?」「今日の予定を教えて」「今朝の気温は?」という質問を各2回行いました。
結果はHomePodがもっとも小さい音量にも反応し、認識の精度も優秀という結果に。
予定確認やアラームは実用レベルただし検証時には個人認識に不安も
スマート機能についても検証を実施。まずはシンプルにアラームの作成や天気予報などを試すと、あっさりと実行。
もう一歩踏み込んで、リマインダーやメモ、カレンダーなどのアプリも操作してみましたが、新たな予定やタスクの登録も拍子抜けするほど簡単に行えました。
ただし、ひつと問題が。別の人が「予定を教えて」と言うと、スラスラとカレンダーの読み上げを始めてしまうのです。
Google Homeでは声紋認証で本人以外の声をブロックできるのですが、この点はやや不安が残りました。
ただ、「メモを教えて」の問いかけには「続けるにはiPhoneで認証をする必要があります」と弾かれたので、このあたりは設定を追い込めば、ある程度のプライバシーは守れそうです。
今回の検証を行ったのは今年の7月なので、今後のアップデートで改善される可能性もあります。