(6)傷ついた相手
悲しいことに、傷つかずに生きていくのは不可能です。
社会や他人は否応なしに理不尽さをみせつけてくるからです。時には抵抗することすら許されません。ただ傷つくしかないときもあります。
励ましの言葉とは、そういう人のためにあるものだと思います。
励ましの言葉が逆効果になるときはある?
励ましの言葉が逆効果になるときはあるのでしょうか。
それは「励ましの言葉」の定義によります。
言葉のミスマッチが逆効果を生む
もし「ポジティブな言葉のみが励ましになる」と捉えていた場合、相手に対して、ミスマッチが起こる可能性はあります。
例えば、仕事や恋愛を考えるとわかりやすいかもしれません。
努力が報われなかった相手に、ポジティブな言葉を投げかけても「もうわかってるよ! それでもダメだったんだ!」と反発されることでしょう。
相手の求める言葉と違っているからです。
「ポジティブじゃない励まし」も存在する
ときには「ポジティブでない言葉」も必要だと思うのです。静かに感じるかもしれません。しかし確かに相手をなぐさめられる言葉もあると思うのです。
励ましの言葉にもいろんなパターンや効果があります。相手にあわせた言葉をチョイスできるようになるといいでしょう。
人の心に響く「励ましの言葉」とは?
では、落ち込んでいる相手、悩んでいる相手、傷ついている相手にはどんな言葉をかけるべきなのでしょうか。
(1)「つらかったね」
個人的には「頑張れ」よりも「つらかったね」のほうがやさしい気がしています。
悩んでいる人は「頑張っている・頑張りすぎ」な人が多いからです。十分頑張って、それでも結果が出なくて、理解されてなくて、悩んでいるのですね。
そんな悲しさを包んであげられるワードだと思うのです。
私たちは理解されたり、共感されたりすることで、勇気づけられます。これは心理療法の場でも使われる言葉だったりします。
(2)「一緒に頑張ろうよ」
もし「頑張れ」という言葉を口にするときは「一緒に」というニュアンスを込めてもいいかもしれません。
子ども時代、おつかいや、自転車の運転や、勉強ができなかったときに、親が“一緒に”手伝ってくれたおかげで達成できたことはありませんか。心強かったですよね。
誰かがいてくれると頑張れる。アクションする勇気になる──これも真実だと思います。
これは自分の仕事が増えるということでもあります。
相手の分も背負うわけですから。
しかし本来的には、誰かを励ますとは、それくらいの覚悟を持って行うことなのかもしれません。「決して他人事のように──対岸の火事のように──あなたの状況を捉えていませんよ。全力で味方をしますよ」と行動で示すことなのだと思います。