ひな祭りというと女の子のしあわせを祈る華やかなお祭り、というイメージが強いですよね。実は単なるお祭りではなく、お七夜やお宮参りと同じく、女の子の健やかな成長を願う日本の伝統行事です。今回は、きちんとひな祭りをお祝いするための、正しいマナーをご紹介しましょう。
ひな祭りの正しい祝い方
日本には昔から伝わる四季折々の伝統行事がありますが、3月3日のひな祭りもそのひとつです。3月3日は正確には「上巳(じょうし)の節句」(別名:桃の節句)といい、女の子の誕生や成長をお祝いする日です。
元々は高貴な生まれの女の子の厄除けと健康祈願として始まった桃の節句が、いつの間にか庶民の間にも定着して行ったと言われています。そのため、雛人形は、赤ちゃんに降りかかろうとする災厄を、代わりに引き受けてくれる守り神のようなものなんですね。
そんな古くからの伝統行事だからこそ、きちんと守らなくてはならないマナーがあるんです。ここでは、ついついやってしまいがちな "ひな祭りのタブー" をご紹介しましょう。
慌てて「一夜飾り」は縁起が悪い?
おひなさまを節句の前日に慌てて飾る人がいますが、これは「一夜飾り」といって縁起が悪いとされています。「一夜飾り」というのはお葬式を連想させるから、という説が有力のようですね。おひなさまは子どもの成長を見守り、災厄から守ってくれる存在なので、できるだけ長く飾っておくのがいいんです。
では、いつごろ飾るのがいいのでしょう。必ずこの日に飾らなければいけないという日にちはありませんが、おすすめしたい日が2つあります。
ひとつは、立春から2月中旬ごろです。ひな祭りには女の子の健康を祈るという以外に、春の訪れを祝うという意味もあるので、立春を迎えてからという考え方です。2つめは、2月19日前後の「雨水」です。この日に雛人形を飾ると「良縁に恵まれる」と言われています。
だけど一番は、家族に時間的な余裕がある日ですね。慌てずゆったりと、家族みんなで楽しく飾り付けましょう。
雨の日に飾るのはNG?
美しい着物を着た雛人形や、繊細なお道具たちは、とても湿気に弱いデリケートなものです。なので、飾る日のお天気は雨や雪ではなく、晴れた日がよいですね。「晴れた日に飾るとしあわせになれる」という説もありますが、雛人形の品質を気遣うというのもひとつの理由です。
気分的にも、やはりスカッと晴れた日に飾るとなんだかいいような気がしますよね。
玄関には飾ってはいけない?
雛人形を飾る場所については、ここだ! というルールはありませんが、雛人形は女の子の身代わり的存在ということを考えたら、子どもたちが普段過ごしている場所、例えばリビングや子ども部屋に飾るのがいいと思います。では、子どもが出入りする玄関はどうでしょうか。
実は人形は運気を吸い取ってしまうと言われています。そのため玄関に雛人形を飾ると、せっかく入ってきた運気がそこで潰えてしまうんですね。信じるか信じないかは自由ですが、やはり、人が集まるリビングに飾るのがおすすめです。
してはいけない食事は?
ひな祭りには、雛人形を飾って家族や親類とお祝い膳を囲むのが一般的なしきたりですが、ではどんなお料理をふるまえばよいのでしょう。
よく知られているのが「ちらし寿司」ですね。だけど特別ないわれがあるわけではなく、縁起物が具材に入っていたり、彩りが華やかだから、という理由から食べられるようになったようです。「蛤のお吸い物」も定番ですが、こちらは貝が対になっているため「良縁に恵まれますように」という願いがこめられているんですよ。
ひな祭りに絶対食べてはいけないものは、特にありません。季節の変わりめでもあることから、旬の食材を生かした彩り豊かなメニューで健やかに過ごしましょう。
いくつになっても楽しみたい「ひな祭り」
おうちのなかに雛人形が飾ってあると、華やかで温かな気持ちになりますよね。子どもが大きくなってきたら、ぜひ一緒に飾ってみてください。きっと子を大切に思う親心も伝わるはずです。
最後に「しまう時期が遅れるとお嫁に行けない」なんて噂をよく耳にしますが、これはまったくの迷信で、「片付けができないようではちゃんとした女性になれず、お嫁さんにもなれませんよ」という戒めなんだとか。お天気のよい日にゆっくり片付ければよいそうですよ。