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光と緑を感じて暮らしになじむ心地よさと新しい挑戦を楽しむ20年目の家

ライフスタイル

等々力渓谷近くに建つ内山邸。緑や光をたっぷり感じるリビング・ダイニングは、住まい手ご夫妻、愛犬、そしてゲストたちのくつろぎの空間だ。

ファッションディレクターであり料理家としても活躍する内山しのぶさんが、2匹の愛犬と家族と暮らすのは、等々力渓谷の近くに建つ2階建ての家。この家が完成したのは2001年のこと。「緑に囲まれて暮らしたい」「当時の愛犬・チャイがのびのびと過ごせるように」と願い、東京のオアシス・等々力渓谷に近く、四季の自然を感じる環境に惹かれ、建築をオーダーした。
「桜、ハナミズキ、マキの木が元から植わっていて、それが素敵だったんです。家を建ててからミモザも植えたので、春はピンクと黄色で息をのむほどに綺麗なんですよ」。
設計をお願いしたのは、日影良孝建築アトリエの日影良孝さん。

日影良孝建築アトリエ

「日影さんとは長い付き合いの友達で、趣味やライフスタイルをわかってくださっているから、安心してお任せできましたし、どんな家になるかとても楽しみでした」。
この家の間取りはシンプルだ。1階に寝室やバスルーム、書斎などのプライベートなスペースをまとめ、2階はフロア全体を開放的なリビング・ダイニングとした。そして、緑に囲まれたのびのびとした暮らしを生み出しているのが、リビングにつながる約16畳のウッドテラスだ。家を建てた時に居たチャイちゃんも、現在の愛犬・ルウルウちゃんとロンちゃんも、このテラスが大好きで、自由に駆け回ったり日向ぼっこを楽しんでいる。

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外観の3本のシンボルツリーは20年前よりだいぶ大きくなった。2階のテラスには外からも上がれるようになっていて便利。駐車場の屋根としての役割も併せ持つ。

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テラスでくつろぐロンちゃん(取材時4カ月の男の子)。

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見晴らしの良いテラスは、ルウルウとロンちゃんお気に入りの場所。

2階に上がると、そこはたっぷりの光と窓外の緑を心地よく感じる空間が広がる。南東のコーナーはL字型の掃き出し窓になっていて、開け放つと外のテラスと一体化する。視線がすっと抜け、室内でありながら空間の制限を感じないのは、設計の妙だ。しのぶさんは「本当に気持ちの良いリビングで、冬も太陽の光がたっぷり入るので暖かいんです」と笑顔で話す。
また、内山さんは家づくりの打ち合わせ時に、好きな建築家として吉村順三氏の本を日影さんに見せ、理想とする空間を伝えたという。それを受けた日影さんは、シンプルで洗練されたデザインを追求。壁や天井の「白部」と床や建具の「木部」のバランスにこだわり、吉村順三氏が愛した暖炉をリビングに設置した。
温もりや安らぎを感じるインテリアは、ほとんどが20年前の竣工時より前から長く大切に使い続けているもので、家具に合わせて設計。毎日の暮らしにしっくりと馴染んでいる。

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「犬の脚に負担をかけないように」と、床は無垢のカラマツに。20年の時を経て、味わいのある飴色になってきた。ルウちゃんとロンちゃんは、窓際の特等席でゆったりくつろぐ。

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リビングからは、ウッドテラスのグリーン、そして3本のシンボルツリーを望むことができ、四季の移ろいを感じられる。木製建具にはラワンをチョイスして、明るい雰囲気に仕上げた。

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リビングの一角には、白いポルトローナ・フラウのソファやジョージ・ネルソンのベンチを配したくつろぎコーナーが。白い梯子を登るとロフト。奥はキッチンになっている。

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ルイス・ポールセンの照明はヴィンテージ。20年前からずっとリビングを照らし続けている。奥の鏡は目黒通りのアンティークショップで見つけたもの。

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ローテーブルとして使っているネルソンベンチには花やキャンドルを飾り、インテリアの一部に。花の匂いを嗅いでいるのは、好奇心旺盛な4カ月(取材時)のロンちゃん(男の子)。

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白を基調としたモダンなデザインの暖炉。炉台は耐火性に優れたトラバーチンという石材。冬には火を入れて、揺れる炎や薪のはぜる音でリラックスする。

大手出版社の女性誌の編集長を歴任してきたしのぶさん。3年前に会社を辞め、今はフリーランスでEコマースや編集の仕事をしている。
「これから迎える60歳から先の人生を考えた時に、何か軸がほしいと思ったんです。それで思い切って会社を辞め、自分らしく生き生きと過ごすにはどうしたら良いか考えました」
そこで頭に浮かんだのが料理だった。『編集長のお家ごはん』(世界文化社、2013)というレシピ本を上梓したほど料理好き・もてなし好きのしのぶさんは、退社後に中国伝統医学を取り入れた薬膳料理、マクロビオティック、オーガニックなどについて勉強。調理師の免許を取得し、2018年の6月から自宅で月に2回の料理教室を開催している。

『編集長のお家ごはん』

「この家があったことが、背中を押してくれた部分もあると思います。この家を訪れる方は皆さん『居心地が良い』と言ってくださるので、生徒さんを迎えるのにもいいかなと思いました」。
編集者として忙しい日々を送ってきたしのぶさんが教えるのは、素早く簡単につくれるけれど、おしゃれで、体に優しい料理。さらに2019年には国際中医薬膳師の資格も取得し、
「体にパワーをくれる・体を整えてくれる食材を、シンプルな料理法で美味しくいただく」ことをテーマとしている。生徒さんからは「料理教室の日の翌朝は体の調子が良い」と、うれしい感想が届いている。
また、友達の家に遊びに来たようなアットホームな雰囲気も特長で、教室が終わった後もゆったりとくつろいでいく人が多いという。
慣れ親しんだ自宅で新たな挑戦を始めた内山しのぶさん。この家はこれからも、住まい手と愛犬たち、そして訪れるゲストを心地よく包んでくれるのだろう。

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ダイニングテーブルは、以前の住まいの時から愛用している「IDEE」のもの。手前のテーブルは、教室を始める際に買い足した。シャンデリアはオランダのブランド「moooi」のもので、料理教室を始めるにあたり、新しく購入した。

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白を基調としたキッチンは、緑が見える窓もあって明るい。ミーレの食洗機、AEGのオーブンなど、しのぶさんが厳選した機器がおさまる。壁面はモザイクタイルにしてあり、素材のグラデーションが楽しい。

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