最近増えてきている【ワーカホリック】と呼ばれている人たち。あなたは大丈夫?仕事漬けにならないために何ができるのか、臨床心理士である筆者がお答えします。
ワーカホリックとは?
『仕事をしていないと落ち着かない』『休日でも仕事が気になって仕方ない』と思っているそこのあなた、それはもしかしたら【ワーカホリック】かもしれません。ワーカホリックは仕事中毒・仕事依存と訳され、本来は生活のために行っている仕事に私生活の多くを犠牲にして打ち込んでいる状態のことを指します。周囲から見れば『仕事が好きな人』『会社に貢献してくれる人』という印象を持たれ、アルコールや薬物などの依存に比べて他人に迷惑をかけていないと思われがちですが、『仕事漬けで家庭を顧みない』『家事や育児をしない』という形で影響を及ぼしていることもあります。
ワーカホリックになりやすい人とは?
ワーカホリックになりやすい人の特徴として以下のようなことが挙げられます。
□周囲に対して気遣いができる
□責任感が強い
□几帳面であり真面目である
□プライドが高い
□Noと言えない
□過度な上昇志向がある
仕事だけでなく何か特定のものに依存するのは【強い不安や孤独感】【自分への自信のなさ】などが根本にある可能性があります。最初は上司の指示や目標を達成しようと仕事していたことが、仕事をすることによって周囲に感謝される、認められるという体験よって快感を覚え、気付けばワーカホリックになっていたということもあるかもしれません。ワーカホリックの状態が続くと、強いストレスが心身にも影響を及ぼし、うつ状態や過労死などを引き起こすこともあるので注意が必要です。
ワーカホリックにならないために
ワーカホリックによって心身を蝕まれないためにできることがあります。
仕事と距離を置く
最初は大変かもしれませんが、仕事を家に持ち帰らないところから始めましょう。仕事のことを思い出してしまうのならPCやスマホを見ないようにするのもひとつ。『仕事は職場、家では休む』がルーティンになってしまえば仕事と距離を作ることができます。また、残業が続いている人は週1・2回だけでも定時で仕事を終えることで自分の時間を作ることができるかもしれません。
趣味を持つ
ワーカホリックになることの原因として、仕事以外に時間を使うものを持っていないことが挙げられます。趣味を探すというと難しいイメージがありますが、例えばDVD鑑賞をする、音楽を聴く、アロマを焚いてみる、以前から興味のあった本を読んでみるなど、外に出なくても家の中でできることもたくさんあります。仕事以外で何かひとつ楽しんでできるものを見つけられると良いですね。
他人からの評価にとらわれすぎない
他人からの評価や見え方を過度に気にしてしまうワーカホリックの人たち。ヨガ哲学であるヨガスートラの中に「ヴァイラーギャ」という教えがあり、物事や他人と程よい距離を取ることの重要性を説いています。物事や他人はあくまで自分が課題を学びあうための存在であり、比べるものではないということです。心理学的には、人と比べることで自分の価値を見出すのは【自己肯定感が低い】からということも考えられます。もし他人と比べることがやめられずに苦しんでいるという方は、専門機関でカウンセリングなどを受けてみることで少しラクになるかもしれません。
自分に意識を向ける練習をする
ワーカホリックの人は、自分の心身の健康に意識が向きづらいということもわかっています。そういった人にこそヨガがおすすめです。ヨガで大切にされる呼吸法やアーサナ(ポーズ)は、身体や呼吸、心の動きを観察するのに適しています。日頃からヨガの練習をし、身体や呼吸が心地よく、感情がおだやかな状態を知っていれば、何かストレスフルなことが起きても「いつもの自分と違う」と身体や心のSOSに気づくことができるのです。ヨガの練習を続けることで、心身ともに自分のペースを大切にすることができるようになるでしょう。
『私もワーカホリック予備軍かも』と思った方は、ぜひ今の自分の働き方を見直してみましょう。仕事を頑張るのは素晴らしいことですが、体調を崩してしまっては元も子もありません。心身が疲弊し切ってしまう前に、自分で自分を守る方法を知っておきたいものですね。
ライター/南 舞
臨床心理士。岩手県出身。多感な思春期時代に臨床心理学の存在を知り、カウンセラーになることを決意。大学と大学院にて臨床心理学を専攻し、卒業後「臨床心理士」を取得。学生時代に趣味で始めたヨガだったが、周りと比べず自分と向き合っていくヨガの姿勢に、カウンセリングと近いものを感じ、ヨガ講師になることを決意。現在は臨床心理士としてカウンセリングをする傍ら、ヨガ講師としても活動している。
Instagram: @maiminami831