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「とんでもございません」が誤りの理由

日常でよく耳にする「とんでもないです」「とんでもございません」という表現は正しいのでしょうか。今回は「とんでもないです」の意味とビジネスシーンでの使い方について国語講師の吉田裕子さんに解説してもらいました。

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接客やビジネス上の会話でよく使われる「とんでもないです」は、どのような意味なのでしょうか。具体的に使われるシーンと合わせて押さえましょう。

「とんでもないです」という言葉の意味とは?

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「とんでもない」は「途でもない」が変化してできた言葉です。基本的な意味としては、

1.予想できなかった異常事態が起きる様子。
例「とんでもない事件が起きてしまった」

2.常識や道徳から考えて、あってはならない様子。
例「とんでもないことをしやがって」

3.全くそのようなことはないと考えられる様子。
例「あの人がリーダーに適任だなんて、とんでもない」

という3種類があります。

ビジネスシーンで使われる「とんでもないです」は1~3、どの意味の可能性もありますが、最も頻繁に使われるのは3の意味でしょう。

「とんでもないです」の使い方と例文

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仕事上のやりとりでの「とんでもないです」は、主に謙遜する気持ちを表すのに使われています。「とんでもないことです」「とんでもないことでございます」という形でも使われます。具体的な使い方は次の通りです。

(1)褒められた時、謙遜を込めて否定する

褒められた際、「いやいや、そこまですごくはありません」と否定する意味で、「とんでもないです」を使うことがあります。「すごいじゃないか」「いえいえ、とんでもないです」といった具合です。

目上の相手から褒められた時に使うことが多いですが、同じぐらいの立場や年齢の人、後輩から褒められた場面で使用しても問題ありません。謙虚な態度を示すことができます。

類語には「めっそうもない(ことです)」「身に余るお言葉です」があります。

なお、あまりに「とんでもないです」を連呼すると、うっとうしく感じられ、逆にマナー違反になることもあります。何度か謙遜した後は「ありがとうございます」「光栄です」とお礼に切り換えましょう。

(2)目上の人からお礼を言われた時の返事

目上の人からお礼を言われた時、「どういたしまして」と返すのは馴染みません。かといって、お礼を言ってもらったのに、無言で会釈するだけ、というのも失礼です。

そこで、「お礼を言ってもらうほどのことではありません」と謙遜する意味で、「とんでもないです」を使います。「この前は助かったよ、ありがとう」「とんでもないです」とやり取りするわけです。

この使い方の注意点は、あまり強く言い過ぎないことです。相手の思いや言葉を否定しているかのように聞こえてしまう恐れがあります。謙遜していることが分かるような表情や仕草を添えるか、

・とんでもないです。お役に立てていたらうれしいです。
・とんでもないです。そこまで言っていただくと恐れ多いです。

と一言添えるといいでしょう。

(3)目上の人から謝罪された時の返事

目上の人が謝罪してきた時、「そんな、謝ってもらう必要などない」という気持ちを表すのに、「とんでもないです」と返すことがあります。

これも(2)同様、あまりにも相手の思いや言葉を否定する印象になっては逆効果。

・とんでもないです。それほどお気に病むことはございません。
・とんでもないです。引き続きよろしくお願いいたします。

などと、一言添えましょう。

例文

「とんでもないです」の使い方を具体的な例文で見ておきましょう。

「この間のプレゼンテーションは実に素晴らしかった、さすがだね」
「とんでもないです。チームメンバーが協力をしてくれたおかげで、何とかできたことです」

「納期を1日前倒ししてくれてありがとう」
「とんでもないです。お役に立てたならうれしいです」

「だいぶお待たせしてしまったね。申し訳ない」
「そんな、とんでもないです。お気になさらず。」

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