思いを適切な言葉で伝えられない時、「私って語彙力がないなぁ……」と少し落ち込んでしまいますよね。そんな語彙力を鍛える方法があると、外資系OLコラムニストのぱぴこさんは言います。一体どんな方法なのでしょうか?
「語彙力が欲しい~~~~~~~~~」。
原稿を眺めながら、血の涙を流して叫びまくっています。今もです。
私の友人には、全ての会話を「すごい」「やばい」「ハンパねぇ」で済ませる人間がいるのですが、さすがにこれよりは確実に語彙力はある。しかし、「必要な時に“最も適切な言葉”を使える人間か?」と問われるとそうではない。
今回は、ネットスラング的に使ってしまっている「語彙力」を真面目に考え、語彙力を鍛えるノウハウを深堀りします。
語彙力とは?
『語彙力を鍛える ~量と質を高めるトレーニング~』(光文社新書)の著者で、言語学者の石黒圭氏は著作の中で、語彙力を以下と定義しています。
語彙力=語彙の量(豊富な語彙知識)×語彙の質(精度の高い語彙運用)
つまり、ただ言葉や単語を知っているだけではなく、その語彙を適切に運用して活用できる能力が語彙力なのです。
また石黒氏は、語彙の量よりも質を重視しており、質はどれだけ人に伝わったか? という尺度で測られるものだと記載しています。
語彙力が無いと思われがちな人の共通点
では、上述した語彙力が「無い」と判断される人には、何か共通点はあるのでしょうか?
(1)表現のバリエーションが無い
冒頭で挙げた友人が、周囲から「語彙力が無い人」代表として認識されたのは、「すごい」「やばい」「ハンパねぇ」の3語完結だったからです。潔いです。
しかし、もちろん彼もその他の単語を知らないわけでも、漢字が書けないわけでもありません。高等教育を受け、有名大学といわれる学校を卒業し、一般企業で働いています。
では、なぜ3語完結なのか。
それは、その場その場で適切な言葉を脳みそから引っ張り出すことができないからです。そして、このように表現が少ないと「こいつ、いつも同じこと言っているな? (語彙力が無いな)」と思われるのです。
(2)指示語の使用が目立つ
「これ」「それ」「あれ」「どれ」など指示語、通称「こそあど言葉」ばかりを使う人も語彙力が無いと判断されます。
「先日指示したあれを、これしてほしいんだよね」
「あれをどけておいてくれって頼んだだろ」
あまりに「こそあど言葉」ばかり使っていると、語彙力が無いを通り越して「記憶力が落ちているのでは?」「認知機能の低下か?」と別の心配をされる可能性もあります。
(3)口語表現が多い
「めちゃくちゃ」「すごい」「かなり」など、ビジネスシーンでもとっさに適切な言葉が出てこなくて、口語表現を多用してしまうと、語彙力が無いなと思われます。
距離をつめるため、またはアイスブレイクのために口語表現を混ぜる人は、前後はきちんとしたビジネスシーンで適切な表現ができます。
しかし、言葉につまった結果、口語表現ばかりが出てしまうと「そもそも表現を知らないのでは」「文章を適切に構築できないのでは」という印象になります。
大人が語彙力を鍛える方法
日本語母語話者でも、言葉は使って学ばないと抜け落ちます。一方で、年齢を重ねても語彙力を鍛えることはできます。
先ほどもお伝えしましたが、語彙力とは「語彙の量(豊富な語彙知識)×語彙の質(精度の高い語彙運用)」です。質が重要とはいいつつも、そもそも言葉を知らないと話になりません。つまり、アプローチは2種類あります。
1つ目は、語彙の量を増やすこと。2つ目は、語彙の質を上げることです。