8月28日に公開された映画『青くて痛くて脆い』は、住野よるさんによる小説がもとになった作品。住野よるさんといえばデビュー作の『君の膵臓をたべたい』が有名ですが、こちらも映画化され大ヒットとなりました。
8月28日に公開された映画『青くて痛くて脆い』は、住野よるさんによる小説がもとになった作品。住野よるさんといえばデビュー作の『君の膵臓をたべたい』が有名ですが、こちらも映画化され大ヒットとなりました。
このように小説が原作の映画も多く、話題になる作品もたくさん生まれているんです。今回は小説が原作の作品をご紹介します♩
植物図鑑 運命の恋、ひろいました
illustration by Sachiyo
この作品の原作は、有川浩さんの『植物図鑑』。有川さんの作品といえば、『図書館戦争』や『空飛ぶ広報室』なども映画化されたため、聞いたことがある人も多いかと思います。女性ならではの柔らかい文調で、かといってくどく感じさせない、爽やかで読みやすい文章が特徴です。
パッとしない生活を送る主人公・さやかが、偶然出会った男・樹(いつき)と共同生活を始め、植物や料理を通して関係を変化させていくストーリー。大きな事件やハプニングが起こるような作品ではなく、何気ない日常の大切さに気づかせてくれる1本です。
作品ではたくさんの植物がピックアップされており、中には「それ、今まで雑草だと思っていた…」というものまで。しかし、樹に言わせれば「この世に雑草という草はない。全ての草には名前がある」のだそうで、彼はどんな植物もおいしい料理に変えてしまうんです。こんな彼が一家に一台(人)ほしい…と、思わず思っちゃいます。
小説には植物の写真のページが付いていて、まるで本当の植物図鑑のよう。幼い頃に見たことがある植物も、きっとあるはずです。どんな味がするんだろう?と想像しながら読むのも楽しいですし、実際に料理に使ってみるのもよさそうですね♡
アイネクライネナハトムジーク
伊坂幸太郎さんの連作短編集『アイネクライネナハトムジーク』をもとに製作された作品。監督は『愛がなんだ』のメガホンをとった今泉力哉さんが務めています。不思議なタイトルですが、モーツァルトが作曲した曲名であり、ドイツ語で「小さな夜の音楽」を意味するそうです。
「いつか劇的な出会いがあるはず…」と受け身な主人公の三浦春馬さん演じる佐藤と、多部未華子さん演じる紗季がとある日の夜に出会い、付き合うことに。それから10年の付き合いを経て佐藤が意を決してプロポーズをしますが、紗季は即答せずに答えを先延ばしにしてしまいます。
運命の出会いを求めるよりも、出会った人がその人で良かったと思える方が幸せ。そんなセリフが劇中に出てきますが、まさにこの映画は「出会い」がキーポイントとなっているんです。小説ではバラバラに描かれている彼らのエピソードが、映画ではうまくまとめられています。
主人公の佐藤と紗季、佐藤の親友とその妻、佐藤の同僚と家を出て行った奥さんなど…それぞれの出会いや関係性を通して、人と人の関わりや運命について考えさせられる気がします。そして注目してほしいのが、斉藤和義さんが歌う主題歌『小さな夜』。この作品に欠かせない一部であり、音楽が全編を美しく彩っています♩
君の膵臓をたべたい
illustration by Sachiyo
住野よるさんの『君の膵臓をたべたい』は、デビュー作にして本屋大賞・第2位を受賞した大ヒット小説。2017年に浜辺美波と北村匠海さん主演で実写化されました。クラスで目立たない存在の「僕」と膵臓の病気を抱えながら気丈に振る舞う「桜良」が、2人だけの秘密を共有し、だんだんと距離を縮めていきます。
「恋」と一言では言い表せないような、2人の不思議な関係性。最初は心を開かずに桜良に振り回されている「僕」でしたが、少しずつ変化が現れてきて、「彼女のような人になりたい」と思い始めます。
映画では大人になった「僕」が教師となって過去を回想するストーリーになっていますが、原作では大人になった「僕」は描かれていません。また桜良の親友・恭子の結婚式の描写もないため、映画オリジナルのシーンが加わっています。代わりに小説では別の部分が細かく丁寧に描かれているため、原作である小説を読んでから、映画を鑑賞してもらうのがおすすめです。
特に、終盤の桜良からの言葉は涙なしには読めないメッセージになっているので、ゆっくり丁寧に読んでみてください。一文一文読み進めるたびに、今までのストーリーが思い返されてぎゅっと胸が苦しくなります。