女同士は「その服かわいい~」「似合ってる~」とキャッキャウフフして、「仕事頑張ってて偉いね」「育児頑張ってて偉いよ」と褒め合って、自己肯定感を高め合う。
一方、男性は男同士で褒め合わないから、キャバクラや合コンでやたら褒められたがるのか。
某人気少年漫画に「男を褒める男は、ホモか策士(タヌキ)かどっちかだ」というセリフがあって「この時代によくこれがオッケー出たな!」とびっくりした(この漫画自体はすごく面白いのに、たまに時代遅れなジェンダー観が垣間見えてがっかりする)。
男同士が褒め合って仲良くしていると「ホモか!」とイジるおじいさん(某大御所芸人とか)はいまだにいる。
また策士(タヌキ)という言葉に「男は他人を蹴落として、競争に勝つべき」というジェンダー観が表れている。
男同士の「褒めずに落とす」コミュニケーションが、女性に対しても適応されているんじゃないだろうか。
漫画家の女友達は、初対面の男性漫画家から「その年で彼氏いないってヤバいやろ(笑)」と言われたそうだ。「同業者に対するマウント意識があったのかも。あと『女を雑に扱える俺、イケてる』みたいなイキりも感じました」と振り返る彼女。
恋愛工学でもモテテクとして「ディスり」が提唱されている。それを真に受けて実践した男性読者から「好きな女の子が口をきいてくれなくなりました」と報告が寄せられる。
親しい男女間でからかいの言葉を交わすことはあるが、「イジったら親しくなれる」と思っているなら、盛大な勘違いだ(それにからかわれた側は笑っていても、内心傷ついていることも多い)。
「初対面で失礼な発言されたら『死ねクソが』としか思いませんよ!」「普通に尊重してほしいに決まってますよね!」と、女性陣から盛大な膝パーカッションが寄せられた。
相手に尊重されたければ、こちらも相手を尊重するべき。九九でいうと一の段だが、それを解さない人が女子を困らせている。
「握手会で女性アイドルに失礼な発言する男性ファンとかいますよね? なんで嫌われるって分からないの?」という女子の問いに「二次元と区別がついてないのかもね」と答えた私。
二次元では「初対面は最悪の印象→実は良い人だと発覚、トゥンク」みたいな展開があるあるだが、それはCV津田健次郎だから許されるやつである。
某男性芸人が「女は優しい男が好きなんて嘘やろ! 漫画では俺様やドSが人気やないか!」と謎にキレていたが、ちゃんと次元の区別をつけてくれ。
男子は好きな女子をイジめるもの、という文化も滅びてほしい。
「男子にスカートめくりされた時、先生に『あいつはお前のことが好きなんだ(だから許してやれ)』と言われた」という女子の声に「それな! 死ねクソが!」と膝パーカッションで地面が割れた。
セクハラしたのは「相手を好きだったから」と言い訳する大人もいる。
「好き」という言葉でハラスメントを矮小化せず、「絶対してはいけないこと」と子どもに教えるべきだろう。「意地悪しても好意は伝わらないし、嫌われるだけだよ」「二次元と区別をつけようね」ということも。
「人前で彼女のことを『こいつバカだからさ(笑)』とかイジる彼氏が不快」という声も寄せられた。
これも「俺が上の立場だ」というマウント意識と「女を雑に扱える俺、イケてる」というミソジニー仕草の合わせ技だ。そんなモラハラ男と付き合うと、サンドバッグにされて自尊心をボコボコにされてしまう。
この手の男は言い返せないタイプを狙うので、「お前ってバカだよな」と言われたら「黙れ小僧!!」と美輪明宏ボイスで撃破してほしい。
イジる人撃退法
イジり被害を受けた場合は、どう対処すればいいか?
イジる側は、こちらが怒ると「冗談が通じない(笑)」「マジギレすんなよ(笑)」とヘラヘラするのでたちが悪い。
全力でドン引き
「女を雑に扱える俺、イケてる」系の男にイジられた時は、全力でドン引きするのがおすすめだ。
「何こいつ? 脳みそ8ビットか?」と呆れ顔で相手を凝視するもよし。または「うわ、すごいホモソノリ」「恋愛工学信者なの?」と呆れ顔で返せば、相手はギャフン(若年層ならぴえん)となるだろう。
ハシビロコウ返し
強めの返しができない場面では、ハシビロコウ先輩をお手本にしよう。
「……………」と無表情&無反応をキメれば、敵はひるむ。「こいつフンコロガシ以下の脳みそだな」という目線をイメージすれば、ハシビロコウみが深まる。
私は神戸どうぶつ王国でハシビロコウ先輩に対面したが、岸辺露伴より動かない威厳ある姿を前にして、うっかり何かを自白しそうになった。
ハシビロコウ返しは、立場が上の相手に対しても効果的。
会社員時代、イジりをコミュニケーションと勘違いしている上司がいた。「今日は特にブスだな(笑)」とか言われるたび自虐で返していたが、あまりにしつこいので「……………」と無表情&無反応をキメたら、相手はかなり狼狽していた。
ストーカーやクソリパーと同じで、彼らはとにかく反応が欲しいのだ。
FBIで人質交渉のトレーナーをする分析医が、厄介な人から身を守る方法として「反応しない」「返答しない」を徹底すること、と述べていた。
こちらを尊重しない相手を、尊重してやる必要はない。「貴様に返す言葉など無い」という心意気で、ハシビロコウに擬態してほしい。