たくさん食べていないのに太る、家族と同じだけ食べているのに自分だけ体重が増えてしまう…。そんなふうに疑問を抱いたことがある人も多いのではないでしょうか。体重増減のメカニズムは実はとってもシンプル。エネルギー天秤をイメージして、自分のからだの状態を振り返ってみましょう。
エネルギー天秤とは
まずは天秤をイメージしてみてください。この天秤の左側のお皿に消費エネルギーをのせます。右側のお皿に摂取エネルギーをのせます。これがエネルギー天秤です。
◎エネルギー天秤が左に傾く
消費エネルギーの方が摂取エネルギーより多く、天秤が左側に傾くと体重は減る。
◎エネルギー天秤が右に傾く
摂取エネルギーの方が消費エネルギーより多く、右側に傾くと体重は増える。
◎エネルギー天秤が動かない
消費エネルギーと摂取エネルギーが同じで、傾きがなければ体重に変動はない。バランスがとれている。
体重の増減のメカニズムはとても簡単で、これだけのことなのです。意外と忘れがちですが、体重が増えると、「何か他に原因があるのでは?」と思ってしまうことも多いものです。
消費エネルギーを増やすには
消費エネルギーを増やすために、たくさん歩いたり、階段を使ったり、何かスポーツを始めなくては!と、つい考えてしまいがちですが、これらは身体活動量に当たり、もちろん、これらを今より多く行うことで消費エネルギーを増やすことができます。
しかし、一日に消費するエネルギーはこれだけではありません。身体活動量の他に、基礎代謝量、食事誘発性熱産生などがあります。
■身体活動量(運動や生活活動により消費されるエネルギー)
・・・・1日に消費するエネルギー量の約30%
■基礎代謝量(何もせずにじっとしているときでも消費されるエネルギー)
・・・・1日に消費するエネルギー量の約60%
■食事誘発性熱産生(食事をしたあとに消費されるエネルギー)
・・・・1日に消費するエネルギー量の約10%
一日に消費するエネルギー量の中で、一番多く割合を占めるのが実は基礎代謝量なのです!基礎代謝量は、からだの筋肉量と脂肪量が関係し、筋肉量が多いと基礎代謝量は多くなります。逆に、筋肉量が少ないと基礎代謝量は少なくなります。
一般的に、加齢とともに筋肉量は減るので、基礎代謝量は必然的に少なくなります。昔と同じ量を食べていても体重が増えたと感じるのは、基礎代謝量が減って全体の消費エネルギーが減り、天秤が右側に傾くからです。
エネルギー天秤がなかなか左に傾かない人は、身体活動量を増やすだけではなく、基礎代謝量を上げることにも注目してみましょう。筋肉を増やすことを意識すると、効率よく消費エネルギーを増やすことができます。
摂取エネルギーを減らすには
体重を減らしたいとき、食べ物の「量」を気にすることは多いと思いますが、食べ物の「中身」を気にしたことはありますか?
食べ物は大きく3つの栄養素に分けることができますが、これらは1g当たりのカロリーが違います。
■炭水化物(ごはん、パン、麺に多く含まれる)
・・・・1g当たり4kcal
■たんぱく質(肉、魚、卵に多く含まれる)
・・・・1g当たり4kcal
■脂質(油、バターなどに多く含まれる)
・・・・1g当たり9kcal
1g当たり、一番カロリーが高いのが脂質です。炭水化物やたんぱく質の倍以上のカロリーがあります!つまり、脂質が多く含まれるものを食べた場合、同じような量を食べていても、炭水化物やたんぱく質が多く含まれるものを食べたときよりも、エネルギーをたくさん摂取してしまうのです。
たくさん食べていないのに天秤が右に傾くという人は、食べ物の量だけでなく、食べ物の中身の栄養素にも注目してみましょう。
高い位置でバランスをとりましょう
体重の増減のメカニズムはとっても簡単ですが、では、消費エネルギーが少なく、摂取エネルギーも少ない場合、天秤はどうなるでしょう。あまり動かずあまり食べない状態です。両方のエネルギーのバランスがとれていれば、天秤は動かず体重の変動はありませんよね。
しかし、このような生活を続けていると、栄養素が十分にとれずに体調不良になったり、抵抗力が落ちやすくなります。また、運動不足から筋肉量や骨量が低下し、基礎代謝量の低い、太りやすいからだになります。
エネルギーの収支だけにこだわるのではなく、きちんと食べてその分動いて、高い位置で天秤のバランスをとることが、健康なからだを保つためにとても大切です。