7.【その他】たなかふみえ「そば猪口」
「たなかふみえさんの器は遊び心のある絵柄がなによりの魅力です。パンダや舌切りすずめ、ひょうたんから駒など、モチーフが独特でかわいいんですよ。
料理教室の旅行で有田へ行ったとき、ギャラリーのウィンドウでパンダの猪口を見かけまして、もうひと目惚れでした。あいにく定休日だったので翌日買いに来ようと心に決めました。
有田焼の伝統的な絵付けを学んだ上で、自分なりのユーモアを表現している。わたしの教室の生徒さんにもファンが多い作家さんです」
8.【その他】川野恭和「片口」
「艸茅窯(そうぼうがま)の川野恭和(かわの・みちかず)さんの作品は、東京で行われる個展に伺っては少しずつ買い集めているんです。
20年ほど前に通っていた料理教室で川野さんの作品を目にする機会があって、ひと目で『すてきだな』と思いました。それから毎年、東京での個展に足を運び、数年前には鹿児島の窯も訪問しました。
この片口もそうして手に入れたものです。わたしの本のスタイリングにもたくさん使わせていただきました。もともと片口が好きで、いろいろ集めているんですが、こちらはなかでもお気に入りです」
器に力があれば料理はシンプルでいい。
それぞれに際立った個性があり、その外観ひとつからも道具としての魅力が感じられたいこまさんの愛用品。作家ものや骨董品の器の魅力について、いこまさんはどのように考えているのでしょう。
「プロダクトの食器にもすてきなものはたくさんありますが、手作りの品にはなんとも言えない温かみを感じますね。器に力があると、なんでもない料理もおいしそうに見せてくれますね。またお気に入りの器があると、料理のやる気が格段にアップしますよ」
食卓の主役はあくまで料理ですが、それをどう見せるかという点で上手くいかないこと、どうすればいいか悩むこと、あるのでは。そんなとき、それひとつで目を引くような食器があると、手の込んだことをしなくても食卓が見違えたように華やぎます。いこまさんの愛用品のような良い器があれば、料理はシンプルに盛り付けるだけで十分なのかもしれませんね。
取材/小林萠(macaroni編集部)、文・構成・写真/植松富志男(macaroni編集部)