今週のみずがめ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
得体の知れない人になろう
今週のみずがめ座は、「大愚」の気風を宿していこうとするような星回り。
爛熟期の江戸時代に、大阪で酒造業者をしながら、自邸を知識人の集まるサロンとして、書画や本草学・医学・蘭学などあらゆる分野の貴重な書物や物品を蒐集した木村蒹葭堂(けんかどう)という伝説的な人物がいます。
彼の家には毎日、様々な人が訪れ、また多くの人と手紙のやりとりをして、人びとは彼の影響を受けたようです。その意味で、彼は世間の媒体(メディア)になりきったのだと言えますが、その器の大きさはこうして彼の実績を書いてみても、いまいち掴めない感じが残ります。
ところが、当時の画壇の大御所である谷文晁が描いた彼の肖像画を見ると、それがなんとも特徴的なのです。その表情は、一歩間違えれば愚かにしか見えないのですが、それがギリギリのところで「大愚」すなわち大人物の気風となりえているのは、ひとえに対象へのリスペクトがあったからでしょう。あなたもまた、可能な限り自身を世間にむかって開いていくことがテーマとなっていきそうです。
今週のうお座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
経年変化の楽しみ
今週のうお座は、自分を支えてくれてきたものへの、しみじみとした思いが浮かんでくるような星回り。
「膝がしら木曽の夜寒に古びけり」(小林一茶)は、作者五十三歳の頃の作。山深く静かな木曽の地では、秋の冷えも早い。こうして正座をしていると、寒さがしみるなあ、と突き出た自分の膝がしらを見ていたときの感慨を詠んだのでしょう。
しかし「古びけり」という表現には、単に自身の衰えや加齢への実感を表わしただけではなく、時の経過を俯瞰的に眺める視座や、そこでかすかに昂然としている作者の思いも垣間見えてきます。こんな自分を長いこと支えてくれて、よく頑張ってくれたなあ、今の自分にはなんだか底光りして見えるぞ、といいたい気持ちが出てきたのだろう、と想像してみても、そこまで不自然ではないはず。
中七の「きそのよさむに」という言葉の語感もまた、いかにも素朴で飾り気のない古樸な印象を受けますが、それは自身と文字通り二人三脚でやってきた四股への思いも重ねられていたのかも知れません。あなたも、うまくいけば自分が何によってここまで運ばれてきたのかということに改めて気付いていくことができるはず。
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