今週のかに座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
のたうちまわって生きて行く
今週のかに座は、無意識のうちに自分が真似ていたモデルを再発見していくような星回り。
「曖昧に踊り始める梅見かな」(野口る理)という句のごとし。永い歳月の間に風雪にさらされるうち、斜めに傾き、横に広がっていった梅の枝ぶりに、思わず身体が反応したのでしょう。
まっすぐに、最短距離を、何事もなく、コスパよく進んでいくだけが人生じゃないさ。むしろ、「疎痩横斜」な梅の老木は人間にそれとは対極にある“老成の美”というものを教えてくれているようでもあります。
今週のあなたもまた、自分の生き方や姿勢がいい塩梅の曲がり具合になっているか、なりそうか、改めて確認してみるといいでしょう。
今週のしし座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
創造に伴う深い憂鬱
今週のしし座は、みずから創った作品からの問いかけを、きちんと受け止めていこうとするような星回り。
フランケンシュタインとは、怪物そのものの名前ではなく、それを作った科学者の名前。『フランケンシュタイン』の物語は「怪物とは何者か?」という重要な問いかけを、今もなお読者に向けて発し続けているのだとも言えます。
怪物にとって、フランケンシュタインとは「創造主」「神」だったのであり、自身の立場はアダムとサタン(悪魔)の両方を兼ね備えたものでした。しかし、この物語の神は、アダムがひとりぼっちにならないようにと伴侶を創り与えた聖書の神とはまったく異なり、数々の仕打ちが怪物を凶悪化させてしまうのです。
今週のあなたもまた、創造(クリエイティブ)という行為にどうしても入り込んでしまう無意識的な怖れや不安と改めて向き合い、少しでもその正体を看破していくことがテーマとなっていくでしょう。
今週のおとめ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
地を這うように
今週のおとめ座は、普通なら見過ごしがちなサインを受け取り、自らを励ましていくような星回り。
「堅香子にまみえむ膝をつきにけり」(石田郷子)でおもしろいのが、「まみえむ」という謙譲表現を使っていること。まるで貴人にでも接見するかのように、膝をつき、目の位置を低くして、うつむき気味に、儚げに咲いている花に深い敬意を込めているのです。
もしかしたら作者はそのことを知っていたからこそ、片栗の花に会いにわざわざ山地までおもむき、自分の中の何か、春を待つ気持ちとしか言いようのないものをそっと確認していたのかも知れません。
今週のあなたもまた、小さなものやかそけきものの消息をたどいっていくことで、自身の中で消えそうになっていた希望を保持させていくべし。
今週のてんびん座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
負けるが勝ちよ
今週のてんびん座は、偶然のたわむれをできるだけ邪魔することなく見守っていくような星回り。
にんげんの友だちもいるが、にんげん以外の友だちも持ちたいと思う人にとって、レコード屋や古本屋というのは格好の社交場となります。なぜなら、本やレコードというのは、時おりじつにさまざまな語り口や長さで、こちらにシグナルを送ってくるから。
ここでの出会いは生ものであり、ほとんど偶然の賜物です。出会いのたまたまからこそ、濃密な意味が立ち上ってくるんだということに気付くとき、レコード屋や古本屋はある種の解放区になっていくはず。
今週のあなたもまた、てんびん座の得意とする戦略的思考を捨てて、もっとなまの偶然に身を任せてみるといいでしょう。