今週のさそり座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
完璧さを切り崩す
今週のさそり座は、予想だにしなかった結びつきのなかに活路を見出していくような星回り。
「春星や湯屋から帰る修道女」(大津日出子)という句のごとし。掲句ではかけ離れた2つのモチーフを取り合わせ、「湯屋から帰る」というシチュエーションで見事に繋ぎ、一連の立体映像のように読者の目前に立ち上がらせてくれます。
その秘訣は、湯屋帰りという状況設定が湯のあたたかさや肌のぬくもり、脱衣や着衣の際のきぬずれなど、触覚に訴えるものであること。ひとりの人間が瞬間的に別人のように変わってしまうような時にも、そういうことは起きているのかも知れません。
今週のあなたもまた、ひとつの感覚を深めることにこだわり過ぎるのではなく、異なる感覚への転移においてトータルな体感の深まりを追求していきたいところ。
今週のいて座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
割り切れないものをゆらし続ける
今週のいて座は、簡単には取り除くことのできない苦しみや不安を、もっと大切に扱っていこうとするような星回り。
「恋と哀れは種ひとつ」は、江戸時代を代表する劇作家・近松門左衛門の言葉。彼の時代であれば、「確実に幸せにできるかどうか、なるかどうかは定かではないけれど、心からそうなることを乞い願う」というのが恋でした。
何かはっきりと言い切れないようなものがそこにあって、それでも自分の大切なものを相手に与えてあげたいと思うからこそ、それが人生を左右するほどのトキメキやトワイライトとなって、その人をすっかり変えてしまうなんてことも起きる訳です。
今週のあなたもまた、いかに何も打つ手がなく、おろおろするしかないというところに留まっていられるかということを、もう少し大切にしてみるといいでしょう。
今週のやぎ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
暗い予感を研ぎ澄ます
今週のやぎ座は、思いつく限り最悪の想定をして、現実に備えておこうとするような星回り。
「春風や鼠のなめる角田川(すみだがわ)」(小林一茶)は文化10年、作者が51歳のときの句。すっかり景色が春に変わって、すべてが移ろいゆくかのように見えたなかで、ただ鼠だけが人生の悲惨を、この世の本質がどこにあるのかを示唆するかのようにそこにいるように感じられたのかもしれません。
実際、翌年結婚しやっと身を固めて落ち着いたかのように見えたのもつかの間、生まれてきた幼い子供をつぎつぎと失い、もうなめつくしたと思った辛酸をこれ以上ないというほどに舐めさせられたのです。
今週のあなたもまた、ここで改めてもう自分には不幸など訪れるはずがないという慢心やゆるみを引き締めておくといいでしょう。