今週のみずがめ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
手垢のついた現実からの離陸
今週のみずがめ座は、何をするにもどこに行くにも絡みついてくる既存の文脈から、自身のつむぐ物語を切り離していこうとするような星回り。
かつて村上春樹は、29歳になったときに「ある日突然」「小説が書きたくなった」そうです。自分の表現したいことを表現するために、それまで自分が触れてきた小説と「まったく違った形のもの」を「自分の文体」として作りあげなければならなかった。そのためには、いったん「日本の小説の文体」から離れ、その痕跡をこなごなに砕いて、少しずつ消し去っていく作業を行わなければならなかったと。
そうした創作への態度の根底にある衝動について、村上は「ものすごく個人になりたい」とか、「社会とかグループとか団体とか」から「逃げて逃げて逃げまくりたい」、すなわち“世間”から距離をおきたい、離れていたかったという言い方でも言及していましたが、これは今週のみずがめ座にもどこか通底するように思います。
今週のあなたにとって、そうした村上の初期の創作態度は大いに指針となっていくはずです。
今週のうお座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
ゆるゆるボンバー
今週のうお座は、天地に広々と思いをめぐらせていくような星回り。
「下萌や石をうごかすはかりごと」(高浜虚子)という句のごとし。作者は「はかりごと」という革命家のような物言いをしているが、実際には庭の石を動かす算段でもしているのだろう。
作者が日ごろから目の前の小さな現実の処理に追われているなかりでなく、むしろそこから抜け出してみずからの世界を包み込もうとする想像力の働きに余念がないからであるに違いない。力み仕事の際には必ずどこかにゆるみをつくっておくという力仕事の極意が、ごく自然に俳句となってここに結晶化しているのだ。
今週のあなたもまた、そうしたどこか悠揚と構えたゆるみを日々の生活やみずからの意識の中にしつらえてみるといいでしょう。
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