今週のかに座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
開けゴマ!
今週のかに座は、自分のなかの野性が目覚めていくような星回り。
『クレソンを花ごと食べて水の春』(日隈恵里)という句のごとし。掲句で詠まれているクレソンの花は、食べられることは食べられるのですが、ピリっとした苦みが非常に強く、おいしくないと感じる人が多いはずです。
花も茎も葉っぱも一緒にむしゃむしゃと食べてしまうことで、作者は万物のいのちを育む「春の水」を感じた。それは日常のなかに潜んでいた野生をみずからのなかに取り込んでいくための1つの儀式であり、社会化されすっかり飼い馴らされてしまった“人間”から1つの生命体へと生まれ変わっていくための契機なのだと言えます。
今週のあなたもまた、そうした儀式や契機をみずからに与えてみることで、一気に生命力が賦活していくのを感じることができるかも知れません。
今週のしし座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
匿名の声となる
今週のしし座は、思考不可能なものを捉え、一体化しようと試みていくような星回り。
凄まじく錯乱した時代の予見者のごとし。人間種の滅びを予見したようなストーリー作品は数多く見られますが、2020年代に入った現在、人間により生産的な「乾電池」として社会参加するよう促す力は、数え上げればきりがありませんし、みずからコンピューターやAIのようになろうとする者はますます増えていっているように思います。
あくまで自然は、過去のデータから予想可能な形で徐々に変化するものとたかをくくることしかできないよう、近代的な思考習慣にすっかり支配されてしまっているのだと言えるでしょう。
今週のあなたならば、いつもより少しだけ地球が「私たち」を通して考えているだろう内容を、真剣に受け止めていくことができるはずです。
今週のおとめ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
脱力と燃焼
今週のおとめ座は、詰まり気味になっていた頭蓋の“栓”がスポンと抜けていくような星回り。
『春の日を一杯に浴び画もかかず』(小川芋銭)という句のごとし。「画(え)もかかず」といったマイナスの表現が「春の日」ののどかな空気感と結びつくことで、全身からすっかり余計な緊張感がとれて、脱力していくような効果を生みだすことに成功しています。
作者の芸術性格は自由にのびのびした様子の体現にありましたから、余技であったはずの俳句においても、掲句のようなどこか天真爛漫で俗に汚れていない魂の雰囲気が伝わってくる作品が、よく生まれていたのかも知れません。
今週のあなたもまた、いつも頭の隅にある強迫観念などはどこかにうっちゃって、からだの赴くままに自分自身を解放していくことができるはずです。
今週のてんびん座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
火-非の精神
今週のてんびん座は、無意識的な性的抑圧への自覚を、改めて促していこうとするような星回り。
かつて多数の信徒を集めたある新興宗教の教祖は、「性のエネルギーをロスしてはいけない」ということを繰り返し説いていました。それには神秘体験に繋がるきちんとした理由もあったのですが、それだけでなく、性というものがその教団内でかなり抑圧されていたということの裏返しでもあったように思います。
これは現代の日本社会においても、ある種の性的な抑圧は根強く残っているということでもあって、性的なエネルギーを霊的なエネルギーに転換させることに失敗し、暴力と結びつくような形で暴発させてしまう危険と私たちはつねに隣り合わせなのだと言えます。
今週のあなたもまた、自分は無害で従順な「いい子」であるという幻想から、いかに抜け出ていけるかどうかが問われていくでしょう。