今週のさそり座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
必然性をほどいていく
今週のさそり座は、何気ない偶然によって救ったり救われたりしていくような星回り。
『くすぐったいぞ円空仏に子猫の手』(加藤楸邨)という句のごとし。仏像に入魂の一瞬を見て取った句であり、「くすぐったいぞ」という俗っぽい言葉が、絶妙なおかしみと無垢な精神を体現しているようで、掲句をとびぬけて面白い句に仕立てています。
生死のはざまにあるこの世の苦しみを救ってくれるのも、おそらく大上段からの説かれたありがたく高尚な教えより、こうした何気なく生まれる偶然の産物であり、それを柔らかく感じ取り、静かに受け止めていけるだけの感受性の在りようなのかも知れません。
今週のあなたもまた、何より自分を無垢な詩心に近づけてくれるものを追求してみるといいでしょう。
今週のいて座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
風穴をあけていく
今週のいて座は、不気味さに出会ってどこか安心していくような星回り。
意味の生きものである人間は、ついあらゆることに合理的に説明がつき、自分を納得させてくれるような意味が必ずあるものと考えてしまう傾向があります。しかし、人間はまったく意味のないところでは生きられない一方で、自分で作りこんだ意味だけでも生きていけません。
たぶん、占いが“当たる”ように感じられる瞬間というのも、そうした意味の分からない意味みたいなものが外部からやってきては、ガチガチに固まっていた意味の組成をやわらげ、生きづらさを軽減してくれるタイミングに他ならないはず。
今週のあなたもまた、意味の非人間性としか言いようがない事態にどうしたって突き当たっていきやすいでしょう。
今週のやぎ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
自身の不確かさを確かめる
今週のやぎ座は、ささやかな価値をそっと積み重ねていくような星回り。
『春愁の窓越しの星消えさうに』(相沢文子)という句のごとし。特別な悩みや喫緊の問題があるわけではないけれど、ただなんとなく頭がぼんやりして、気持ちもスッキリしないなという時に、ふと窓の外を見たのでしょう。
天において「消えさうに」している「窓越しの星」とは、地上におけるわたしと重なりあっているのであり、こうした特別な意味とか感動とは無縁の、一見どうでもよさそうな照応ということも、あってもいいのではないか。そんな風に感じさせてくれる一句となっています。
今週のあなたもまた、そうした一見たいした価値のなさそうな出来事や出会いを、いつも以上に大切にしてみるといいでしょう。