今週のさそり座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
ザ・ノンフィクションを地で行く
今週のさそり座は、誰かのそこはかとないかなしさを汲み取っていくような星回り。
『春の夜や灯(ひ)を囲み居る盲者達』(村上鬼城)という句のごとし。「亡者」ではなく「盲者」達。作者は聾、すなわち聴覚障害者であり、その立場から視覚障害者の集まりに思うところがあったのでしょう。
掲句の「盲者達」とは現代人のカリカチュアであり、楽しげな会話や喧噪から隔絶したところに置かれた作者は、そんな現代人に群れようにも群れることのできない野蛮人や古代人の末裔とも言えるかも知れません。
今週のあなたもまた、隠された心の痛みに自然と心を寄せていきやすいはず。
今週のいて座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
精神のあやしい高揚
今週のいて座は、どこまでも「あやしい共感」に突き動かされていくような星回り。
妻の死に直面し、29歳で牧師の職を辞したエマソンは、今後の人生の目標を探すようにヨーロッパ行きの旅に出ました。彼がパリ植物園でサソリの剥製を見ていると、不意にサソリと人間とのあいだの不可思議な関係に気付かされ、“精神の高揚”つまりある種の神秘体験が起きたのです。そのことについて、エマソンは日記に次のように書いています。
「あのサソリと人間のあいだにさえ、不可思議な関係が存在するのだ。私は内部に、ムカデを、南米産のワニを、鯉を、ワシを、キツネを感ずる。私はあやしい共感に動かされる。『自分は博物学者(ナチュラリスト)になろう』と」
今週のあなたならば、いつもなら類似性や共感を見出しえないような相手や対象に対しても、広い視野に立って“近しさ”を感じていくことができるはず。
今週のやぎ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
“どこ吹く風”の発動
今週のやぎ座は、長く続いた足踏み状態に終止符を打っていくような星回り。
『きのふとは一日限り鳥雲に』(片山由美子)という句のごとし。私たちはしばしば過去の亡霊に思考をジャックされ、終わったはずの出来事に囚われながら今日という日を生きようとするところがあります。
その意味で掲句ができたタイミングは、作者にとって過去に囚われて生きることの不自然さや、無理強いがそう長くは続かないこと、そうせざるを得ない自分自身の弱さやちっぽけさを、やっと受け入れることができた瞬間だったのかも知れません。
今週のあなたもまた、冬鳥のように飛び立った「きのふ」=過去とのつかず離れずのいい距離感を探っていきたいところです。