今週のさそり座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
記憶と恍惚
今週のさそり座は、外野からの声や感傷などに惑わされることなく、喜びの源に集中していくような星回り。
ボードレールはかつての体験をずっと後になってから加工していく詩人であり、その原稿は推敲につぐ推敲で嵐のようにごった返しており、いったい何度加筆の手を入れたのか分からないほどだったと言います。
そうして彼は記憶の中の「廃屋」の引き出しに封じられた「思出」をこれでもかと覗いては、事物どうしの化学反応においてよみがえる悪を昇華して、あえて精神の「苦味」のもたらす快楽に溺れていったのです。
その意味で、今週のさそり座もまた、自分なりの「衣装箪笥」や「昔の壜」をとり出して、大いに精神を昂ぶらせていきたいところ。
今週のいて座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
ああ潮の流れのように
今週のいて座は、自身の依って立つ世代的な意識の在りようが、浮き彫りになっていくような星回り。
『磯野家はみんなで正座豆ごはん』(福永法弘)という句のごとし。
掲句は、今では宙に浮いてしまった「日本人らしさ」だとか「日本的な精神の具体的な現われ」をさりげなく切り出してみせているだけでなく、そこに横たわる世代間ギャップや時代意識の移ろいを、ほのかに薫る初夏の風味のごとく漂わせることに成功しています。
今週のあなたもまた、複数の潮流が渦巻く現実において自分がその一部となって身を浸している時代意識を、できるだけ明確に意識していきたいところです。
今週のやぎ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
猛烈な発露
今週のやぎ座は、みずからの人生の方程式を組み直していくような星回り。
かつて寺山修司は自叙伝である『誰か故郷を想はざる』のなかで、「数字では何で出来ているか。(…)それは月光にぬれた法則たちのパーテーなどではない。不動の定理の戸籍簿でもない。ひそかなる鬼の暗号などではないだろうか」と書いています。
現実主義者であればあるほど、若き寺山の感性が、浮世離れしたロマン主義者の世迷いごとどころか、きわめて真剣かつ現実的な見立てであると感じるのではないでしょうか。
今週のあなたもまた、自身の魂を生き延びさせていくための方程式はどちらなのか、どんなものなのかということを改めて考えてみるといいでしょう。