投資に興味はあるけど、自分が投資なんてできるかわからない……。そんな不安を持っている方もいるのではないでしょうか。資産運用サービスを提供するウェルスナビ株式会社の小松原さんに、投資に向いている人・向いてない人。そして、投資を無理なく続けるための3つの工夫を教えてもらいましょう。
教えてくれたのは……ウェルスナビ株式会社 小松原さん
働く世代が豊かさを実感できる社会をつくりたいという理念に共感し、ウェルスナビにセミナー講師として入社。2021年は年間約300回のオンラインセミナーで講師を務め、約1,700の質問に答えた。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。
どんな人が投資に向いている?
投資に向いている人と聞くと、どのような人を思い浮かべるでしょうか? 好奇心旺盛な人、勉強熱心で情報を集めて分析できる人、自分でものごとを判断できる人などが思い浮かぶかもしれません。
ただ、例に挙げたような条件をすべて満たしたとしても、その人が投資に向いているとは限りません。
人間はそもそも投資に向いていない
投資では元本(元手となるお金)が保証されないため、資産の価格は変化し続けます。金額が上がったり下がったりすると、人の感情は動きます。
たとえば元本10万円を投資して、翌月に1万円増えて11万円になったとすれば、「投資してよかった!」と感じるでしょう。一方で、元本から1万円減ってしまい、9万円になったとすると、「やっぱり投資は怖い。投資なんてしなければよかった」と悲観的になるのが自然だと思います。
なぜ人間が投資に向いていないか。それは人間が本能的に損することを嫌うからです。得をすることで得られる感情の揺れ(喜び)に比べて、損をすることによる感情の揺れ(悲しみや不安)は、2倍ほど大きくなるという研究もあります。
「損をしたくない」という人間の本能と、損をする可能性のある投資は、相性が悪いと言えるのです。
投資に大切なのは、続けること
長期投資の目的で投資を始めて、数年でやめてしまった人にやめた理由を聞くと、「いまの利益を確保したい」といった声が多く上がります。これは「損をしたくない」感情に基づく、非合理的な行動といえます。
投資は長く続けた方が将来的により多くのリターンを得られ、成功する確率が高まります。長く続けるためには「損をしたくない」という自然な感情を乗り越えるための工夫が必要になるのです。具体的にはどのような工夫が有効なのか、ご説明しましょう。
投資を無理なく続けるための工夫とは
投資を長く続けるために、次のような工夫をしてみてはいかがでしょうか。
1.余裕資金で投資する
投資に関心があって早く始めたいという方も、無理をして大きなお金を投じると後悔につながりかねません。投資はあくまで余裕資金を投じるようにしましょう。
余裕資金の算出方法はライフプランによって様々ですが、一般的な考え方として、お金を3つに分けることをご紹介したいと思います。
ご自身の資産を、「近いうちに使うお金(生活資金)」、「予想外の出費に備えるお金(生活防衛資金)」、「当面は使う予定のない将来のためのお金(余裕資金)」の3つに分けて、最後の余裕資金だけを投資にまわすことがおすすめです。
2.時間を分けて投資する
冒頭で、元本10万円が増えた場合と減った場合の例をご説明しましたが、金額が大きくなると感情の動きは大きくなるはずです。
仮に余裕資金が100万円ある場合、100万円を一度にまとめて投資して、翌月に90万円に減ったとすると、心理的なダメージが大きいのではないでしょうか。「1カ月で10万円も減ってしまった。このペースで毎月10%ずつ減っていったら、資産が消えてしまうのでは」と不安で夜も眠れなくなるかもしれません。