今週のかに座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
どれだけアホになれるか
今週のかに座は、自分でも不思議なほどに共感や同情がほとばしっていくような星回り。
『世を恋ふて人を怖るる夜寒哉』(村上鬼城)という句のごとし。作者は聴覚障害を持つろう者でありながら、10人の子どもを司法代書人の職で養っていた苦労人。
「世を恋ふ」ほどの熱情は、むしろ作者にとって自身の滑稽さの証しに他ならなかったはずですが、一方でそれは他の人間の悲惨や小さき者や弱き者たちへの作者の熱烈なシンパシーを後押しする原動力ともなっていたように思います。
あなたもまた、単に世を呪い、人を嘲る代わりに、もっと悲しくなっていこうとするべし。
今週のしし座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
これ以外に道はない
今週のしし座は、「知識人ごっこ」の終焉のごとし。
2010年代以降、これまで長く続いてきた「知識人ごっこ」の時代が終焉に向かいつつあるように思います。
「誰が被害者なのか」ということは、何かのはずみで180度くるりと変わってしまうものであり、冷静になって議論するべきだと呼びかけるのが「知識人」の役目なのではないでしょうか。
あなたもまた、一見するともっともらしい言葉に振り回されておかしくなっていないか、今一度自分自身や周囲に呼びかけていきたいところです。
今週のおとめ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
子どもの目と大人の口を
今週のおとめ座は、丁寧に言葉を紡いで自身の運命を象っていこうとするような星回り。
『冬の馬美貌くまなく睡りをり』(石川雷児)という句のごとし。ここでは透き通ったかなしみのようなものが表現されていますが、これは作者が鉱山勤めが原因で36歳の若さで夭逝していることも関係しているのかも知れません。
つまり、この睡る馬とはどこかで作者自身なのであり、その上で雷を轟かす天のなかに作者は自身の運命を感じ取ったのでは。
あなたもまた、そんな冷たい恩寵に駆られていきやすいタイミングなのだと言えるでしょう。
今週のてんびん座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
補色的な動きをすること
今週のてんびん座は、さりげなく隠れたところでいのちを繋いでいこうとするような星回り。
かつてゲーテは色彩論のなかで「緑は生命の死せる像である」と述べましたが、これと似たことを染織家の志村ふくみが「緑は生と死のあわいに明滅する色である」という言い方で言っていました(『色彩という通路をとおって』)。
宮沢賢治が「春と修羅」の冒頭で言及したように、私たちが生きて在ることも「生と死のあわいの明滅」に他ならず、だとすれば、植物だけでなく私たち人間の本質も緑という色と関係があるはず。
あなたもまた、ともすると動物的な本能に隠れがちな、自分の中の植物的な本質に気付いていきたいところです。