今週のかに座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
天地のあいだに立つ
今週のかに座は、頭で考えるよりも一足早く訪れる感覚的な変化に開かれていくような星回り。
『二月はや天に影してねこやなぎ』(百合山羽公)という句のごとし。暦の上ではもう春とは言え、まだ農作業などもそこまで忙しくなく、冬でもなく春でもないような、どこか宙ぶらりんな気分になりがちな二月。
そんな折、ついつい地上のあちらこちらに春の兆しを待ち望んでしまうヒトのこころにまず最初に応えてくれるのは、遠くから反射してかすかにきらめているような猫柳の光だったのかも知れません。
あなたもまた、のどかな春の原野で、はたまた休日の散歩道のかたわらで、そんな天上界へ呼応している地上のきらめきを探してみるといいでしょう。
今週のしし座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
汝らしずまりて
今週のしし座は、前向きに生きていく上で不可欠な活動を、労働から切り離していこうとするような星回り。
現代社会では人間のあらゆる活動が「労働」という概念へとますます取り込まれ、知らず知らずのうちに「もの思いに耽る」とか「対話を重ねる」といった精神的な活動までもが、トータルに管理対象になってしまっているのが現状なのではないでしょうか。
20世紀のカトリック哲学者のヨゼフ・ピーパーは、余暇とは小さな自我を抜け出し、世界全体のリズムを受け入れ、調子が合うときに生み出される、「いのち」への厳かなで力に満ちた肯定の時間なのだと述べています。
あなたもまた、「余暇のために働くのだ」と心から言えるほどに、余暇の質を深めていくことがテーマとなっていくでしょう。
今週のおとめ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
レッツもの忘れ
今週のおとめ座は、もののはずみで異界に片足を突っ込んでいくような星回り。
『うすらひは深山(みやま)へかへる花の如(ごと)』(藤田湘子)という句のごとし。自然の風物にはかならずかえっていくべき先が用意されているものですが、ひるがえって人間はどうでしょうか。
オンラインやスマホで四六時中どこか誰かにつながり、ホームにかえった気分にならないという人も多いはず。それはある意味で、「あの世」や「異界」のリアリティが著しく失われてしまったということとも大きく関係しているのかも知れません。
あなたもまた、世間と隔絶した、しがらみから解き放たれた時空へと不意に誘われていくことでしょう。
今週のてんびん座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
何も考えないところまで戻るには
今週のてんびん座は、人間の手前勝手な主張や駆け引きなど、思いきりスルーしていこうとするような星回り。
約50年前に刊行された作家・深沢七郎の人生相談本『人間滅亡的人生相談』には、きわめて現代的な悩み相談がすでに数多く寄せられています。
普通の人なら、どこか無条件で人間は虫より偉いと思ってしまうところが、深沢にはそれがない。彼は人間の手前勝手な相談にはあくまで無責任に、薄情に答えるだけであり、相談者の望む解決になんか話を向ける気はなく、だからこそ相談者も安心して相談してくるのです。
あなたもまた、深沢ほどまでとはいかずとも、人間の目論見などあくまで無頓着を心がけていくくらいでちょうどいいでしょう。