今週のさそり座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
個性の秘訣
今週のさそり座は、じっくりと醸成されてきた自身の個性がぱっと咲いていくような星回り。
『家々や菜の花いろの燈(ひ)をともし』(木下夕爾)という句のごとし。
毎年同じ場所で同じように咲く自然と違って、人間はついつい分かりやすい「成長」を求めたり、「変化」することが充実感の証しだと思い込みがちですが、こういう句を鑑賞していると、作者のようにどっしりとひとつの土地に根をおろして暮らすことで初めて出てくる味わいというものも、間違いなく他にない個性なのだと感じます。
あなたもまた、自身がもっとも深く根づいてきた場や共同体からの影響を改めて実感していきやすいでしょう。
今週のいて座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
自己分裂の焔
今週のいて座は、自身が思いがけず抱えたマイノリティ性を改めて受け止め、打ち出し直していこうとするような星回り。
「マラーノ」とは、ほんらい隠れユダヤ人への蔑称(「豚」の意)でしたが、文学者の四方田犬彦はこの語を「ひとが本来の出自を社会的に隠して生き延びねばならぬ状況一般」に用いて、在日朝鮮人や被差別部落出身者など、みずからの出自を偽って展開した言説を「マラーノ文学」と名づけました。
戦後はどの詩人と小説家も、世界のシステムが旧から新へと大きく移り変わっていく混乱を、活動の背景に持っていたように思いますが、現代の日本社会もまた、ますますマラーノ的な状況を生きざるを得ない人やそういう人間と接触する機会が増えてきているように思います。
あなたもまた、自身が孕んでいる矛盾や葛藤をどれだけ深めていけるか、ということが少なからずテーマとなっていくことでしょう。
今週のやぎ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
HEN
今週のやぎ座は、秘めてきた本音や心情が身体から飛び出していくような星回り。
『紅梅や見ぬ恋作る玉すだれ』(松尾芭蕉)という句のごとし。なんだか恋に恋する思春期の学生のような心情が率直に詠まれているのですが、この時作者は46歳。江戸時代では老年期にあたる年齢ですが、だからこそ変に世間に構えず、肩の力を抜いてこういう句を詠めたという面もあったのでしょう。
制限されることによって逆に強められるものがあるという点では、今のやぎ座にも通じるところがあるはず。
あなたもまた、そんな掲句を詠んだ作者と同様、自分の中でこれまで寝かせてきた想いを何かの拍子に吐露していくことになりそうです。