今週のかに座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
最高の平凡さを求めて
今週のかに座は、変にイキらずとも、いい味がおのずと滲み出ていくよう促していくような星回り。
『吹きそめし東風の障子を開きけり』(池内たけし)という句のごとし。
頭の中でこねくり回した節もなければ、少しも強引なところや難解なところもない、眼で見たまま、心に感じたままが、そのまま口を衝いて句になっているような素直さがある。喩えるなら、いい米の味とか、おいしい水の味とか言われるものに近いような、素朴で豊かな味わいといったところでしょう。
あなたもまた、自分が目指していく方向性にそうした平明な境地ということを、重ねてみるといいかも知れません。
今週のしし座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
無明への抵抗
今週のしし座は、誰かに助けてもらおうとするのではなく、みずからを救おうとする人とこそ関わっていこうとするような星回り。
伝説的な精神科医であった加藤清は、かつて「宗教体験と心理療法」と題された精神科医の平井孝男との討論の中で、「無明感情」とは「自分は救われない」「生まれなければよかった」「普通の人間ではなくなった」といった、具体性を伴った苦悩の感情のことだと述べています。
深い無明感情と無名性の積極的認識の両方を徹底していったのがブッダであるとし、加藤はそんなブッダのことを「無明そのものを直視し、それを突き抜けて明の世界に突き抜けていった人」なのだと表現しているのです。
あなたもまた、結んだ縁を通して明の世界へ突き抜けんとすることや、誰か窮地にある人の質的転換を見届けていくことがテーマとなっていくでしょう。
今週のおとめ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
魔を祓う
今週のおとめ座は、ふわっとやってきた魔のものと対峙していこうとするような星回り。
『金星をゆらし春風来たりけり』(五島高資)という句のごとし。
変に潔癖ぶって、金星的な地上の悦びを無理に抑えこもうとするのでなく、しっかりと金星の恩恵を受けつつも、その魔を祓っていくにはどうしたらいいのかを探求していく。ルネサンス期の占星術家フィチーノは、それこそが、ボッティチェリの絵画の題にもなった「春」という季節の神秘的本質なのだと、フィチーノは考えていたのです。
あなたが、どこまで正気を保っていられるかが試されるタイミングになっていくかも知れません。
今週のてんびん座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
弱さへの対抗
今週のてんびん座は、みずからの内に備わっている「芸能性」を再発掘していこうとするような星回り。
“世阿弥”は上流階級にとってのお気に入りとなることだけを目指した一方で、観客人気に依存した芸人稼業でもあり続け、それらを両立させんとする綱渡り状態を追求していく中で、自分たちの芸を確立していきました。
高貴と卑賤、猥雑と神聖、滑稽と厳粛、さまざまな両義性を結びつけていくことこそが、古典芸能の「芸能」たるゆえんであり、すなわちそれは権力と民衆のあいだを結ぶパイプの役目であり、成立条件もあったのです。
あなたもまた、今どんな仕事についているにせよ、キャリアや職業の要件定義の根底にあるこうした歴史や考え方へ改めて立ち返ってみるといいでしょう。