今週のかに座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
のどけさの化身
今週のかに座は、柔和であることを学び直していくような星回り。
『寝仲間に我(われ)をも入(いれ)よ春山(はるのやま)』(小林一茶)という句のごとし。
部屋もあまり広すぎもせず、かといってぎゅうぎゅうに狭すぎもしない。思い思いに寝転がりつつも、全体としてなんとなくまとまっている感じで、その光景自体がまさに春の山そのものの、どこまでものどかな駘蕩(たいとう)感がある。
あなたもまた、そんな風に春の山の一部になっていくはず。
今週のしし座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
偶然を待ち、偶然を力にする
今週のしし座は、大胆な大局観より些細な日常感覚を大切にしていこうとするような星回り。
「吾々の目にとまらないほどのごく小さな原因が、吾々の認めざるを得ないような重大な結果をひきおこすことがあると、かかるとき吾々はその結果は偶然に起ったという」これは数学者アンリ・ポアンカレによる偶然性の定義です。
ポアンカレの偶然論の要諦は「原因に於ける小さな差異と結果に於ける大きな差異」の強調にあった訳ですが、これは物事をみだりに単純化せず、一つひとつの些細なディティールに目をとめる日常感覚を研ぎ澄ましていくことができれば、少なくとも偶然によるショックを和らげることはできるということでもあったはず。
あなたもまた、いつも以上に生活の解像度をあげ、物事の複雑さへと感覚的に開かれていくことを大切にしていきたいところです。
今週のおとめ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
踊り方を思い出す
今週のおとめ座は、人としての初々しさを取り戻していくような星回り。
『歩みつつ歩幅を探す春の馬』(林亮)という句のごとし。
本来季節とともに刻々と移り変わっていく自然のように、人間もまた時機に応じて、その姿かたちや歩み方を変えていくほうが、ずっと無理がなく、したがって生気に満ちて、しあわせに過ごしていられるはず。
あなたもまた、何かを受けとめるにしろ、どこかへ歩みだすにしろ、一頭の春の馬になったつもりでやってみるといいでしょう。
今週のてんびん座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
美しい死にざまを考える
今週のてんびん座は、自分にとってもっとも幸運な終わり方を夢想していこうとするような星回り。
日本が高度経済成長期のとば口に立った1957年にベストセラーになった『楢山節考』という小説は、「姥捨て伝説」をモチーフにある貧しい山村に暮らす餓死寸前の人々の暮らしを描いたもので、時代とまったく逆行した内容でした。
どこかで生の悦楽を徹底的に突き放したような視点から書かれた作品を、「豊かな日本」の入口に立っていた多くの日本人が進んで読んでいた訳ですから、当時の人たちは現代の日本人よりよっぽど人生のなんたるかを分かっていたのではないでしょうか。
あなたもまた、できるだけユーモアをもって、自身の生き様や理想の落ち着かせ方について思い巡らせてみるといいでしょう。