時代とともになくなりつつある古い喫茶店。長く喫茶店として使われていなかったレトロな建物に、20代の店主がコーヒーへの深い探究心と若い感性を注ぎ込み、“NEO純喫茶”として生まれ変わらせました。それが、コーヒー好きが集う店「風とCOFFEE 喫茶カゼコ」です。
白壁と赤煉瓦が目印。静かな住宅地にたたずむ「風とCOFFEE 喫茶カゼコ」
京都の五花街のひとつ・上七軒は、街の歴史が古く、北野天満宮の門前や歌舞練場周辺を中心に新旧さまざまな人気店が点在します。そんなエリアに2022年にオープンした「風とCOFFEE 喫茶カゼコ」は、早くもコーヒー好きたちの熱い支持を集めています。
この場所は店主の森さんがコーヒーを提供する場所としては3店舗目。最初はタイ料理店とのシェア店舗、2店舗目は場末の商店街の路地奥。3店舗となるこちらは今出川通の1本南、元誓願寺通沿いの静かな住宅街にあり、白壁と窓を赤煉瓦が囲む特徴的な外観が目印です。
内装も昭和レトロなまま。昔ながらのキッチンボードには真新しいオリジナルのコーヒーカップが美しく、機能的に並びます。カウンターに立ってコーヒーを淹れているのは店主の森さん。平日などは森さんお一人のときもあり、注文はカウンターで。壁に貼られたメニューから好みのコーヒーを注文して、席で待ちます。
コーヒー愛が滲み出す! 丁寧に淹れられた一杯のコーヒー
「風とCOFFEE 喫茶カゼコ」では、コーヒーを生豆の状態で仕入れて自分で焙煎しています。注文が入ると、一杯ずつ豆の量、湯の量を正確に計り、丁寧にハンドドリップしていく……。その一連の作業が流れるようにスムーズで、思わず見惚れてしまいます。
そして、一杯淹れるごとに必ずスプーンでテイスティング。その理由は「味覚のトレーニング」を兼ねて「いつもブレのない味をお客さんに提供したい」からだそう。
焙煎具合はもちろん、お湯の温度、豆の挽き方の細かさ、湯を注ぐスピードなど微妙な差で味が変わる。そんなコーヒーの奥深さに魅せられ、常にコーヒーに真摯に向き合う森さんが淹れた最高の一杯。こちらは一推しのエチオピア。エチオピアのBanko Gotitiという小さな村で育てられた、在来種のコーヒーです。
コーヒーと焼き菓子、ペアリングの妙を楽しむ
そして、焼き菓子も森さんのハンドメイド。こちらは2023年の新作チーズケーキ。生地にエスプレッソを混ぜ、それに合わせてクリームチーズの種類も変えて焼き上げた自信作だそうです。エチオピアとの相性がよいお菓子としておすすめしてくれました。
窓際の席でおいしいお菓子と一杯のコーヒーは至福の時間。ケーキと並ぶとわかりやすいのですが、コーヒーの量はかなりたっぷり。濃密でコクのあるエスプレッソチーズケーキと、フルーティーですっきりとした味わいの浅煎りコーヒーとの相性は確かに絶妙です。