京都の3大レトロ銭湯リノベーションカフェの1つともいえる「嵯峨野湯」。かつての銭湯は、真っ白に塗られた天井の大きな窓から陽の光が注ぐ、美しいおとぎ話の世界のようなカフェへと姿を変えました。そんな人気カフェの“今”をお伝えします。
ノスタルジックな路面電車の駅近にある元銭湯のリノベカフェ
全国的にも数少なくなった路面電車。このノスタルジックな風景のすぐそばに、古い銭湯をリノベーションした人気のカフェ「嵯峨野湯」はあります。
嵐電嵯峨駅から徒歩1分の場所ながら、「大正時代に建築された元銭湯」と思って探すとわからないぐらいスタイリッシュな外観のカフェです。
テラス席を通り過ぎ、扉を開けると奥行きのある広々とした店内。かつては番台があり、左右に分かれて男女の脱衣場のあった場所は物販スペース、奥の風呂場部分がカフェスペースになっています。
タイル張りの小さな3段の階段を上がると、広々としたカフェスペース。真っ白なペンキで塗られた天井と梁。大きくとられた天井の窓からは燦々と陽の光が差し込みます。この下に浴槽があったのでしょうね。
近づいてみると両サイドの壁には洗い場のカランと鏡が当時のまま残されています。真っ白なタイルもリノベーションされたものではなく、当時のまま。つるつるに磨かれて、清潔に光り輝きます。
浴場があった広いスペースの横は縁側だったそうで、隔てるレンガの壁も昔からの姿をとどめます。決して新しく作ることはできない、経年による味わい。そこにクリエイティブの要素が加わり、唯一無二の空間となっています。
1階に残るレトロ銭湯の面影
店内に残る銭湯の面影をご紹介。上がり框(がまち)の玉石タイル、光を透過するガラスブロック、曲線の柱を覆う細長いモザイクタイル、タイル絵。店内を巡るのが、大正ロマンを探す宝探しのよう。
壁に並ぶシャワーとカラン、アナログな体重計。左右の隅にあるのは水風呂、番号がわかりやすい貴重品入れ。超音波浴の注意書きにある「十年以上も寿命を延し」「せいぜいご利用下さい」の説明もおおらかでちょっぴり笑えます。
店内を抜けた奥にもテラス席がありますが、ここにはかつてお湯を沸かすおがくずを保存する燃料小屋とボイラー室があったそう。レンガについた煤がかつての様子を伝えます。
2階の真っ白な空間で、お姫様気分
2階はといえば、もともとは住居スペースだったそう。天井の剥き出しになった梁も床も白く塗り、テーブルや椅子などの家具もすべてが真っ白で統一されています。
中央の大きなテーブルは天板にガラスが嵌め込んであり、1階の様子を垣間見ることができます。
シャビーシックな家具やシャンデリア、自然素材の白いファブリックなどの美しいインテリアに囲まれて、まるで撮影スタジオのよう。
窓際の席からはテラスの桜も見えます。