今週のかに座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
社会的コードから外れる鍛錬
今週のかに座は、思想的な豊かさの土台としての“足腰”をあらためて鍛えていこうとするような星回り。
政治哲学者で、フランス革命を大きく後押ししたことでも知られるジャン=ジャック・ルソーは、晩年に著した『孤独な散歩者の夢想』の中で「わたしが集中できるのは歩いている時だけだ。立ち止まると考えは止まる。わたしの精神は足がともなう時だけ働くようだ」と書いていました。
無目的な旅や散歩ひとつとっても、それは普段の生活システムの外へと飛び出してまなざしを反転させ、「外」からその限界だったり不足だったりを明らかにしていく決定的なきっかけとなりうるのだということを、ルソーはよく知っていたのでしょう。
あなたもまた、意識を狭い範囲に囲い込みがちな制度的なまなざしの“外”へと自分の足で歩いていく機会をきちんと確保していきたいところです。
今週のしし座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
素足と額
今週のしし座は、直接体験できる機会をこそ最優先していこうとするような星回り。
『夏河を越すうれしさよ手に草履』(与謝蕪村)という句のごとし。
掲句はオンライン参加やレビューありきの選択が当たり前になりつつある現代の社会傾向に対して、「その場にいること」や「余計な知識や情報をはさまずに物事にあたること」など、直接的体験の称揚を伝える声という文脈で解釈していくこともできるはず。
あなたもまた、へたな理論武装や二次情報、三次情報などはかなぐり捨てて、身ひとつで体当たりすることを大切にしていくべし。
今週のおとめ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
タッグを組んで生きていく
今週のおとめ座は、大地の夢にみずからも接続していこうとするような星回り。
ともに詩人であり、それぞれ屋久島とシエラネバダの山中に暮らしていた山尾三省とゲーリー・スナイダー。
彼らは、ひとつの場所に住み、周囲の環境と一体化していくという視点からみずからを再教育していく生き方を「再定住」と呼び、その中で植物、土壌、動物、あるいは気候などに関する正確な知識を獲得しつつ、生態系に対する人間の責任を確認することの重要性について語っています。
あなたもまた、自分が現に生きているその「場所」を、できるだけ深く掘り下げてみるといいでしょう。
今週のてんびん座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
虚実を行ったり来たり
今週のてんびん座は、みずから想定外の状況や文脈へと頭をつっこんでいこうとするような星回り。
『遮断機の今上りたり町薄暑』(高浜虚子)という句のごとし。掲句はただただ存在していた私たちが、生き生きと現象している私やあなたや彼らへと、場面転換していく一幕を描いているのだとも言えます。
まるで、無色透明だった幽霊たちが、スクリーンセーバーみたいにさまざまな色を帯びて実体化し、それぞれに異なる軌道や動きを伴いつつ交錯したり、バラけていったりするように。
あなたもまた、みずからの人生に起きるイレギュラーな遊び(虚)や調和を乱すカオス(混沌)を少なからず受け入れてみるといいでしょう。