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[断るのが苦手、我慢ばかりしてしまう人必見]専門家が教える「NO」を上手に伝えるコツ

「アサーション」とは、自分も相手も大切にするコミュニケーションのこと。「自分の言いたいことを大切にして表現する」と同時に、「相手が伝えたいことも大切にして理解しようとする」方法です。日本におけるアサーション・トレーニングの第一人者による、やめてほしいの伝え方を「言いにくいことが言えるようになる伝え方 自分も相手も大切にするアサーション」(ディスカヴァー・トゥエンティワン)より一部抜粋してお届けします。

「やめてほしい」は正直に伝える

不本意なこと、不愉快なことをされたり、言われたりしたとき、じっと黙ってがまんすることで、その場を乗り切ろうとする人がいます。「余計なことを言って誤解されたくない」「無視されたり、攻撃されたりするのが恐い」などと思っているのかもしれませんが、黙っていても「そんなふうにされたくない」という意思は伝わりません。

「それはやめてほしい」
「それは私が嫌いなことなので、できる限り気をつけてほしい」

言葉にして伝えることが、誤解や無視を減らします。そこに、誤解を解いたり、詫びたりする関係が生まれるのです。伝えないでいると、相手は「それでいい」「不満はない」と思うこともあり、「お互いさま」の関係がつくれないでしょう。コミュニケーションは、単なる言葉のやり取りではなく、「自分を相手にわかってもらう」ためのものでもあります。そのためには、会話したり何かを一緒にしたりする中で、自らをオープンにすることが不可欠です。自分を相手に知らせることなしに、コミュニケーションは成り立たない、物事は前に進まないと言ってもいいでしょう。それは、流暢に、あるいは饒舌に、自分のことを伝えなければならないわけではありません。おそるおそる、ぎこちなく、少しずつ自分を伝えながら、互いの距離を縮めていくことも、ありのままを大切にしたアサーションです。

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AdobeStock

断るときはいきなり「ノー」と言わない

やめてほしいことを伝えるのと同様に、できないことはできないと、誠意をもってきちんと伝えることも大切です。そんなときの注意点があります。即座に「できません」「無理です」と突っぱねないこと。意見を伝えることが大切とは言っても、いきなり「ノー」と言われたら、相手は驚き、立場をないがしろにされたと感じるおそれがあります。また、一方的で、攻撃的にも聞こえます。

互いの立場を守り、大切にするには、いきなり「ノー」と言わず、自分と相手の緊急度を見極めてから、伝えます。「それはできそうもない」ということが明確な場合は、状況や事態を忌き憚たんなく伝え、丁寧に断る試みをしましょう。もし、その場で判断できない場合は、「考えてみます」と返事をする。そう言われれば、相手は断られたときの心の準備ができ、あとで「できない」と言われても、いきなり「ノー」と言われるよりはるかにショックは少ないでしょう。「依頼」を「断る」ときは、葛藤が生じます。それを避けようとして「黙って引き受ける」あるいは「無理です」と突っぱねる。これは非主張的なやり取りと攻撃的なやり取りの典型と言ってもいいでしょう。

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「言いにくいことが言えるようになる伝え方 自分も相手も大切にするアサーション」(ディスカヴァー・トゥエンティワン)

この本の著者/平木典子
1959年津田塾大学英文学科卒業後、ミネソタ大学大学院に留学し、カウンセリング心理学を専攻(教育心理学修士)。帰国後、カウンセラーとして活躍する一方、後進の指導にあたる。日本におけるアサーション・トレーニングの第一人者。立教大学カウンセラー・教授、日本女子大学教授、跡見学園女子大学教授、統合的心理療法研究所(IPI)所長を経て、2019年より日本アサーション協会代表。臨床心理士。家族心理士。著書は、『三訂版アサーション・トレーニング』(日本・精神技術研究所)、『アサーション入門』(講談社)、『図解 自分の気持ちをきちんと「伝える」技術』(PHP研究所)、『マンガでやさしくわかるアサーション』(日本能率協会マネジメントセンター)など多数。

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