今週のかに座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
目立たぬ花が咲いている
今週のかに座は、多くの人に称賛されない花の美しさを知らせていこうとするような星回り。
『花こぼるる棕櫚の下掃くさびしさよ』(村山たか女)という句のごとし。母が病気となり、作者は看護のために女学校を退学してつきっきりで看病したものの、その甲斐なく母は亡くなってしまった。掲句はその後しばらくして詠まれ、作者自身もわずか21歳の若さで亡くなっています。
そう考えると、掲句は亡き母へ捧げられた鎮魂歌であると同時に、村山たか女というひとりの夭逝した俳人を通じて現われた死者の声でもあって、掲句と向きあう読者=生者はそうした背景も含めて、「そうした花もあったのだ」という事実を突きつけられるわけです。
あなたもまた、この世にあって目立たぬ存在にこそ意識を向け、しかとその重みを受け止めていくべし。
今週のしし座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
野生馬と向きあう
今週のしし座は、みずからを小説的に励ましていこうとするような星回り。
村上春樹が、アメリカの大学で戦後の日本文学をめぐる講義をまとめた『若い読者のための短編小説案内』。
そのなかで、作家の丸谷才一について「反私小説的である」と評し、自分とは異なる登場人物をゼロから作って、それを“お話”のなかで生き生きと動かしてみせることで、それを語っている作者自身にある種の違和効果をもたらし、そこで生じるズレや落差の中に何らかの真実を見出さんとしていくのだと説明してみせました。
あなたもまた、息苦しい現実とのあいだに隙間をあけるべく、みずからの至らなさをある種の他人事として誰かに語ってみるといいでしょう。
今週のおとめ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
魅力のある運命とは何か
今週のおとめ座は、善にも悪にも転んでいくだけの余地を、自分の中に見出していこうとするような星回り。
『人殺す我かも知らず飛ぶ蛍』(前田普羅)という句のごとし。
下五の「飛ぶ蛍」とは、自分がどんな拍子でどう転ぶか「わからない」ということを、他の誰か何かに転嫁して責めたり怒ったりするのではなく、<宙づり>にしたまま受け入れていくための、何気ない仕草のようなものとも言えます。
あなたもまた、天使が足を踏み入れるのも恐れるような場所へも踏み込んでいきたいところです。
今週のてんびん座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
楽しく仕事しようよ
今週のてんびん座は、内に秘めたる社会運動への情熱に火がついていくような星回り。
思想家のルドルフ・シュタイナーは、100年以上前の講演録『職業のカルマと未来』の中で、すでに近代の労働者は経済的な現実のみが唯一の現実であると信じ始めていると述べています。
しかし同時に、他ならぬ労働者が欲しているものの中には、決して経済活動のみによる結果としては現れないものがあるのだとも指摘しているのです。
あなたもまた、仕事の文脈でいつどんなときに嫌悪感を覚えるのか、そしてそれが何に起因しているのか、改めて誰かと話してみるといいでしょう。