今週のさそり座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
凄まじいものに向きあう
今週のさそり座は、こちらの居住まいを正してくれるものと向きあっていくような星回り。
『朝虹(あさにじ)は伊吹に凄し五月晴』(掘麦水)という句のごとし。掲句は、「朝虹」の信じがたさ、この世の不思議さを、遠くに見える「伊吹山」への畏怖にかけているのでしょう。
滋賀にある日本百名山の一つであり、古来より神が宿る山として信仰の対象になってきたこの霊峰は、ヤマトタケルが東征の帰途に伊吹山の神を倒そうとして返り討ちにあった神話でも知られており、タイミングの妙もあいまって、圧倒的な自然を前にした人間や文明の力のはかなさやちっぽけさを思い起こさせてくれます。
あなたもまた、自然であれ師であれ書物であれ、畏怖の念を覚えるものと向きあえることの僥倖を噛みしめていくべし。
今週のいて座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
密かなる交流
今週のいて座は、いつの間にかかすかに親近感を覚えるようになった他者を、改めて受け入れていこうとするような星回り。
自宅の天井裏、屋根裏、空き部屋など、普段は使っていない薄暗い空っぽの空間に、誰か見知らぬ他者がいて、息を潜めつつも何らかの活動や干渉をしてくるという妄想は、独り暮らしの老婦人にたまに見られるそうですが、重要なのはことさらに精神疾患を伴っているとは限らないということ。
つまりこの妄想にはある種の普遍性があって、だからこそB級映画や都市伝説などにこうした設定は散見される訳ですが、そうした妄想が現われるにいたった原因は、家主である孤独な人間が家屋そのものを自分の存在と同一視するからだと言われています。
あなたもまた、自身のよるべなさや不信感を埋めてくれる存在に、きちんと感謝の念をもって過ごしていきたいところです。
今週のやぎ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
ありえたかも知れない人生の具現化
今週のやぎ座は、後ろ向きな自分や未熟で大人げない自分にも居場所を与えていくような星回り。
『紫陽花に毒仰ぐわれと思ひけり』(清原枴童)という句のごとし。紫陽花の紫がかった花の色を目にして、ふと毒々しさを感じ、さらには「自分が毒を飲んだらどうなるであろう」と想像してしまったという一句。
こうした句に、どこか子供っぽい唐突さや脈絡のなさを覚える人もいるかも知れません。しかし、おそらく作者は自分なりの切実さをもって「毒仰ぐわれ」を身近な景のなかに幻視してしまったのでしょう。
あなたもまた、そんな<わたし>の分岐や揺らぎをみずからに許していきたいところです。