親でも説明しにくい【性教育】こそ漫画が活躍!
『性教育120%』ちょっと過激か?と思うほどの迫真
現代の性教育に疑問を持つ保健体育教師・辻先生は、赴任先の女子高で大胆な性教育を試みます。最近では以前より性教育の必要性が語られるようになってきたものの、その内容はまだまだ、読者世代が保健体育で習った内容が多少増えた程度で、教科書でもサラッとスルーする内容。性教育だけでなく、ジェンダー、性的同意やルッキズム、BLなどの同性間の恋愛なども扱っていて、ギャグ要素、ポップな要素もありつつ、多少、お子さんの年齢によっては過激に捉えてしまう箇所もあるかもしれませんが…。保体の辻先生が生徒たちに熱く教える姿に、明るく性教育を語れる大人の大切さを感じながら、漫画で代弁してもらいつつ親が補足説明し、子どもとの会話のきっかけにするのもいいと思いました。
性教育120% 田滝ききき・ほとむら/KADOKAWA
『子宮の中の人たち リアルタイム妊娠まんが』妊婦の体内変化は子宮の中の擬人化で考えると分かりやすかった!
妊娠したら、どんなことが体内で起こっているのか―。保健体育の教科書のような「精子と卵子が受精して子宮に着床」という堅苦しく、いまいちわかりにくい表現も、そのしくみが細かく擬人化されているので、子宮という『工場』で働くようなちっちゃな人々の動きによって、楽しく分かりやすく理解できます。大切なことだけど、恥ずかしいとか言いにくいとか、まだまだ試行錯誤の性教育ですが、中高生では授業で妊婦体験をする学校もあるそうなので、擬人化されこんなにもコミカルで詳しく解説されたものを一度は読んでもいいかもしれません。妊娠出産の感動エッセイや指南書・育児書ではなく、ひとりの妊婦の日常を切り取ったエッセイ漫画を、リビングなどに積んでおけば、お子さんも目を通してくれるかも。
子宮の中の人たち リアルタイム妊娠まんが(C)EMI /KADOKAWA
『マンガでわかるLGBTQ+』まずは知って、感じて、考えるために
「男性は女性を好きになり、女性は男性を好きになるという前提」があるこの社会において、もっと自分らしく生きたいという人がいるということを、19の体験談を含む22のシチュエーションで、「LGBTQ+」を知って、感じて、考えるアクションに。読みすすめると、そもそも自分の性のあり方を深く考えたことはあっただろうか、男女という枠組みが当たり前な社会に対して自分も無意識ではないか、と気づくきっかけになるはず。保健体育の教科書にも「LGBTQ+」の文言は載っているものの、学校のクラスや、職場や、仲良くなった友人がセクシャルマイノリティだったら、無知によって知らないうちにその人たちを苦しめているかもしれないこともあるなど、まずは知ることに役立つ1冊。
マンガでわかるLGBTQ+ パレットーク (著), ケイカ /講談社
【美術】大人も知らない芸術の世界は漫画で広げる
『最後の秘境 東京藝大 : 天才たちのカオスな日常 』芸術家の日常ってこんな感じなんだ!という発見だらけ
謎に満ちた“芸術界の東大”のカオスな日常を描いた漫画です。めったに知ることができない芸術家の日常ですが、こちらの漫画ではそのような読んでへぇ~となるようなエピソードが盛り沢山!純粋に知らない世界のこと、芸術家の頭の中が垣間見れるという面白さもありながら、どんな科があって、どんな試験をして、どんな人たちが通っているのかがリアルに分かります。読んでいるうちに美術や音楽に触れるときの見方が養われてくるような感覚があり、芸術との接し方も今後変わってきそうです。
最後の秘境 東京藝大 1: 天才たちのカオスな日常 土岐蔦子 (イラスト), 二宮敦人 (原著)/新潮社
『マンガでわかる「西洋絵画」』美術館に行く前に読みたい!
ダ・ヴインチや、モネ、ルノアール、ゴッホ。西洋絵画で有名な画家たちですが、どこをどう観たらいいのかよく分からないという大人も多いはず。こちらの漫画は、本のような解説箇所も交えつつ、巨匠たちの人生や信条、人間関係、絵が描かれた当時の時代背景が丁寧に記載され、読み応え十分!作品もカラーで載っており、注目すべきモチーフや見方などが分かります。子どもたちのみならず、これから絵画の美術館に行く!という方にはぜひともオススメしたい一冊。美術史と世界史は関係も密接なので、世界史を学んでいる高校生以上からだともっと楽しめそうです。
マンガでわかる「西洋絵画」: 美術展がもっと愉しくなる!の見かた 池上英洋/誠文堂新光社
『ブルーピリオド』思春期の子どもたちに勇気をくれる1冊
アニメ化され、ネットフリックスでも配信された超人気漫画、『ブルーピリオド』。美術技法についても知ることができますが、この漫画の魅力は、なんといっても美術を通して主人公の矢口八虎が自分と向き合おうとする姿勢。自分の本当に思っていることを言うよりは、相手が望む言葉を言う方がいい。なんでも要領よくできるけどどこか虚無感を抱いていた彼が、美術を通して初めて、“人と会話できた気がした”と感じたシーンから始まります。思春期の子どもが抱えている葛藤に寄り添いながらも、将来を自分の意志で切り開こうとする主人公の姿勢に勇気づけられる一冊です。
ブルーピリオド 山口つばさ/講談社
世の中を動かす【ビジネス・マネー・経済】も漫画なら分かりやすい
『トリリオンゲーム』ベンチャー企業ってこういう感じ?が想像できる!
今季ドラマ化で話題の、お金儲けして成り上がる、性格の異なる2人の男のストーリー。話の展開がとても面白く、テンポ良く進むのですが、それもそのはず、原作は『Dr.STONE』の稲垣理一郎氏。起業し、どう資金を調達して、どうコネを作って、どこに投資して…という、ビジネスの世界での立ち回りや、さまざまな拡大や成長につなげる駆け引きのうまさなど、稲垣理一郎氏の作品のファンなら、ぜひ1度読んでみてほしい1冊。すぐにハマるはず!
トリリオンゲーム ©︎稲垣理一郎・池上遼一/小学館