年金請求時に、繰下げ分の年金額を一括受給も選択できる
繰下げ受給するつもりだった場合でも、66歳以降の実際の年金の請求時に繰下げ申出をせず、65歳到達時点の本来の年金をさかのぼって請求することもできます。たとえば、繰下げ待機中だったが病気などでまとまった資金が必要になり67歳時に年金の請求手続きを取ることにした場合には、65歳から67歳までの受け取っていなかった年金を一括で受け取り、それ以後は65歳時の年金額を毎年受給していく、という方法も取れるのです。
また、70歳に到達した日後に65歳からの本来の年金をさかのぼって受け取ることを選択した場合は、「特例的繰り下げみなし増額制度」により、請求の5年前の日時点で繰下げ受給の申出があったものとみなされて増額された年金を一括で受け取り、その後は5年前の増額率で増えた年金額を一生涯受給することになります。これは、昭和27年4月2日以後に生まれた方、または平成29年4月1日以後に受給権が発生した方が対象となります。
日本年金機構ホームページ「年金の繰下げ受給」より
デメリットも確認した上で、年金受給開始年齢を検討しよう
ここまで、年金受給の繰上げ・繰下げの受給額を試算し、注意点を確認してきました。
老後の公的年金の受け取りは、原則65歳から。しかし、60歳~64歳の間に繰上げ受給することもできますし、66歳~75歳に繰下げ受給することもできます。
年金の繰上げは、年金受給額が減額されるほか、ほかの年金制度や雇用保険制度等との兼ね合いで、給付が一部または全部受けられない可能性もあるので、利用は慎重に検討すべきです。しかし、収入不足で生活費の確保が苦しいような状況なら、減額されるデメリットを差し引いても、繰上げ受給を優先したほうがよい場合もあるでしょう。
年金の繰下げは、増額された年金をより長く受け取る(長生きする)ほど、お得度が高くなります。年金収入なしに老後の生活費が賄えるのであれば、繰下げ受給を試みるのもよいでしょう。また、まとまった資金が必要な場合は、繰り下げた部分を一括で受け取ることもできます。
毎年誕生月に送られてくる「ねんきん定期便」で年金制度への加入状況を確認し、老後の家計の状況を考えて、年金の受け取り方も検討していくとよいでしょう。