今週のかに座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
ありふれた化学変化
今週のかに座は、単なる偶然と片付けてきたことのなかに無視することのできない必然を見出していくような星回り。
人間は予想外に同じことを繰り返すものであって、例えば、アルコール中毒の夫にさんざん苦労した妻が再婚したら、相手がまたアルコール中毒になったりなんてことは、そこまで珍しい話ではありません。
ただの偶然が重なっただけだと思っている事の中には、磁石で吸いつけるかのように、本人に意識されないところである種の親和力をもって一定の現実を引き寄せているということは、よくあるのではないでしょうか。
あなたもまた、住む場所であれ、職であれ、友人や配偶者の選択であれ、ここのところ自分が無意識のうちに繰り返していたパターンについて、改めて振り返っていくことがテーマとなっていきそうです。
今週のしし座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
余計なことは考えず
今週のしし座は、日本人の過去の経験と無限の知恵を信じていこうとするような星回り。
『江戸の空東京の空秋刀魚買ふ』(摂津幸彦)という句のごとし。
日本人が二千年近く食べ続けてきた米には劣れども、秋刀魚もまた数百年にわたって食べ続けられてきた国民食であった。都市化が進み、自然の少なくなった現代でも、庶民の四季の食の楽しみ方はそこまで変わらないもの。
あなたもまた、機能性や合理性ということはいったん脇に置いて、日本人が大自然の一部として生きてきたという長い長い営みの中にみずからを投げ入れてみるといいでしょう。
今週のおとめ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
バグを突く
今週のおとめ座は、この世界にゲーム的なバグがあることを前提に生きていこうとするような星回り。
もともとネット怪談の一つとして知名度を得た、『きさらぎ駅』(2004年)は、この世界のどこにも位置づけられず、どういう空間かも不明な“異世界”にどういう訳かたどり着いてしまったという投稿者の体験談(という体裁)でした。
興味深いのは、ここでは異世界に行く方法が象徴的でも実用的でもなければ、複雑な手順や、偶然では決して起き得ないような特殊条件を踏んでいる訳でもない、という点です。これはどこか、ゲームの“壁抜け”を連想させます。
あなたもまた、この世界の定常性への不安や倦怠を何らかの形で具現化していくことがテーマとなっていきそうです。
今週のてんびん座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
放心と哲学
今週のてんびん座は、巨大な休符をみずからに付していくような星回り。
『天覆ふ鰯雲あり放心す』(山口誓子)という句のごとし。
「放心す」という下五には、地上のなまなましい人間であることをやめて、自身も「鰯雲」の一部とならんとする、作者の鮮明にして大胆な存在の捉え方の妙がよく表現されているように思います。
あなたもまた、そんな風にみずからの精神に垂直的な地平を加えていくような時間を、大切にしていくべし。