神戸を中心に9店舗を展開している「にしむら珈琲店」。老舗喫茶店が多い神戸で、ひときわ高い人気を誇っています。今回はJR三ノ宮駅前にある三宮店のモーニングをはじめとするおすすめメニューを紹介します。
日本の喫茶文化のパイオニア的存在の老舗カフェ
コーヒーが初めて日本に伝えられたのは江戸時代の中期といわれていますが、喫茶店で提供されるようになったのは明治時代に入ってから。神戸元町の「放香堂」がその始まりとされ、神戸が日本における喫茶文化発祥の地ともいわれる理由です。
にしむら珈琲店は1948年に神戸北野坂にオープンしました。終戦後の当時は物資が乏しく、コーヒーも純正豆ではなく大豆を使用した代用品が多く飲まれていましたが、にしむら珈琲店では一級品の豆を使ったコーヒーを提供することにこだわりました。また、ブレンドを行わず、「キリマンジャロ」「ブルーマウンテン」など、1つの産地から取れた豆を抽出するストレートコーヒーという飲み方を喫茶店でメニュー化したのもにしむら珈琲店が初だそうです。
モーニングのひとときを特別にするシックな店内
今回紹介する三宮店は、神戸の玄関口であるJR三ノ宮駅が目の前というロケーションから常連さんだけでなく観光客も多く訪れます。店内の意匠からは、にしむら珈琲店全体に見られるシックでエレガントな雰囲気が漂い、一歩足を踏み入れただけで背筋が伸びるような感覚を覚えます。
2階へ進むと一面の窓から陽の光が入り込む開放的な空間が広がっています。特等席といわれている窓際からはJR三ノ宮駅や三宮の街並みを望むことができます。なお席数は1階と2階で147席あり、広いスペースで優雅なティータイムが楽しめます。
お得でおいしいと評判の朝食セット(サラダセット/フルーツセット)
三宮店ではコーヒーはもちろん、食事メニューも充実。人気は11時までのメニュー「朝食セット」900円。フルーツセットとサラダセットの2種類があり、バゲットではさむ具材もそれぞれ異なります。ドリンクはコーヒー、紅茶、カフェオレのほか、関西らしくミックスジュースをチョイスすることもできます。
写真のフルーツセットはホワイトアスパラやトマト、ベーコンがトッピングされ、ジューシーかつフレッシュな食べごたえ。りんごやオレンジ、桃(季節によって旬のフルーツに変更)などをふんだんに使ったフルーツポンチは、灘の酒づくりにも使われる宮水で淹れたコーヒーと味わいを引き立て合います。
こちらのサラダセットは、ビジュアル的にはスタンダードなモーニングですが、ふんわり食感で仕上げられた卵やほどよい塩気のハム、シャキッとした野菜の織りなすハーモニーは、想像のはるか上をいく満足度!バゲットは、にしむら珈琲店系列ベーカリー「ブロートバール セセシオン」のもので、小麦の風味豊かなパンです。
ランチで人気は「グラタンセット」
ランチメニューとして圧倒的人気を誇るのが「グラタンセット」1650円。ポーク、チキン、マッシュルームなどがたっぷり入ったグラタンは具材のうま味がホワイトソースに溶け込み、クリーミーで濃厚な味わいを生み出しています。
注文から約15分かけて調理されたグラタンは熱々の状態でテーブルに到着。スプーンで表面を破って中身をすくい上げると食欲を刺激する香りが漂ってきます。そのまま食べても良いのですが、カリッと焼き上がったトーストにのせると、おいしさが倍増。慌ててかぶりつき、口の中をやけどしないように注意しましょう。
愛らしいルックスの定番デザート「モカ・ペア」
食後のデザートには「モカ・ペア」900円を。にしむら珈琲店の定番デザートとして長年愛されている一品です。ぷるんとしたコーヒーゼリー、アイスクリーム共ににしむら珈琲店のコーヒーが使用されており、生クリームと合わせることでほどよい甘さが口いっぱいに広がります。いちごの赤が映えるビジュアルがキュートで、写真を撮るお客さんも多いのだとか。
自慢のコーヒーをドリップバッグでおみやげに
世界各国からチョイスした豆の味を自宅で楽しむことができるオリジナルのドリップバッグも販売しています。1個160円からで、ギフト用の箱詰めや7種8袋が入ったセットも。
こちらはドリップバッグ3袋が入ったレターセット530円。メッセージカードの裏面にはおいしい淹れ方が書かれていたりと凝った作りになっています。普段お世話になっている人に感謝を伝えたり、コーヒー好きな家族や友人へ近況報告をする際に、ピッタリの一品。店舗のほか、オンラインストアでの購入も可能です。
神戸の街を見守り続けてきたにしむら珈琲店。創業者である川瀬喜代子氏が集めた調度品が飾る店内でゆったりと贅沢なひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか。
■にしむら珈琲店 三宮店(にしむらこーひーてん さんのみやてん)
住所:兵庫県神戸市中央区琴緒町5-3-5 グリーンシャポービル1・2階
TEL:078-241-2777
営業時間:8〜23時
定休日:毎月最終月曜
Text:伊東孝晃
Photo:久保秀臣