高松市で愛されてきた「菓子工房ルーヴ」の歴史
1978年、創業者の藤井二郎氏が香川県・高松市に「菓子工房ルーヴ」を開業した当時は、ドイツ菓子とパンの店だったそうです。「LÖWE(ルーヴ)」はドイツ語で「ライオン」の意味。
最初のお店だった高松市・ライオン通り商店街の店舗から始まり、現在は、創業者ご夫妻の弟に当たられる野﨑幸三シェフが代表取締役社長として継承されています。1999年には2階にカフェを併設した「空港通り店」を開業するなど、市内に数店舗を構え、地元の方に愛され続けているお店です。
「和三盆手巻」誕生から現在に至る進化
「和三盆手巻き」は、2000年にデビューして以来、現在も進化し続ける、お店の代表的なケーキの1つです。生地に、香川・讚岐で古くから伝統製法で作られてきた「和三盆糖」の原料糖である「白下糖(しろしたとう)」を使っていて、茶褐色の見た目は、この「白下糖」の色に由来しています。
さらに、特A評価の香川県産米「おいでまい」のきめ細かな米粉を混ぜ込んでいることで、食感はしっとり、もっちり。生クリームにも和三盆糖を100%使っていて、キレのよい上質な甘さと、口どけよくなめらかな舌触り。生地と共に口の中でほどけて、和三盆糖の芳醇な風味がふわりと広がります。
讃岐の和三盆糖は、江戸時代の8代将軍・徳川吉宗による”享保の改革”で各地の特産品が奨励されたことで、高松藩の5代藩主・松平頼恭が生産を進めたという長い歴史があります。
茶褐色の「白下糖」は、一見すると黒糖に似ていますが、上品な風味とコク、やさしい甘さが特徴。沖縄や九州南部でサトウキビを原料として黒糖が作られますが、四国在来の「竹糖(ちくとう)」と呼ばれる、より軸の細い品種のサトウキビで作られます。これを職人の手で手間ひまをかけて「研ぐ」ことで生まれるのが、和三盆糖です。
「和三盆手巻」は、2012年に国際的な品評会として知られる「モンドセレクション」に出品され、以降4年連続で「最高金賞」を受賞。さらに2014年、実は私もその場に立ち会っていたのですが、全国のロールケーキが競い合ったスイーツコンテスト「Roll-1グランプリ」で優勝。
これ以降、香川県産「おいでまい」の米粉を配合したそうで、生地はよりしっとり感がアップ。2021年には、小麦粉を香川県産の小麦「さぬきの夢」を挽いた上質な粉に切り替えたそうです。
「和三盆手巻」のより美味しい味わい方
元々、配送は冷蔵便でしたが、最近の急激な温暖化への懸念もあり、2023年春から、冷凍便での配送に変更したそうです。けれども、生地にしっかりと保水力があるため、冷凍解凍を経ても、ほとんど気づかないくらいでした。
冷凍保存のままであれば日持ちも長いので、包丁を温めて必要な分だけカットして、冷蔵庫で3~5時間を目安に解凍して召し上がるのがお勧めです。コーヒーや紅茶とも合いますが、焙じ茶との相性もぜひお試しください。