今週のかに座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
ここはどこ?
今週のかに座は、明晰夢を見ている時の“感じ”に引っかかったり、それを深めていこうとするような星回り。
『焚きつけて尚広く掃く落葉かな』(西山泊雲)という句のごとし。
そばで落葉の山が一気に燃えあがれば、おのずと気持ちもどこかカッカとしてくる。そういう部分を心にもちつつも、遠くの方を静かにせっせと掃いて、スーッと鎮まってもいる。果たしてこの二つの心理が自然に両立することはあるだろうか?といぶかしんでしまうが、確かにそういうことはある。
あなたもまた、何気なく日常を送っているなかで訪れるそうした端緒を見逃すことなく追求していくべし。
今週のしし座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
行脚で気を通わせる
今週のしし座は、歩くことの恩寵的感覚を取り戻していこうとするような星回り。
例えば、夜道でほのかに点った常夜灯が並んでいる様をずーっと眺めながら歩いていると、日中のどこか別の場所に向かってひたすら“進んでいる”時とは異なる、ある種の仕掛けとしての道路そのものの促しにしたがって“通る”ということが、ぼんやりと実感されることがあります。
それは移動手段としての歩行から、瞑想としての歩行への移行とも言えますが、「ふと」とか「もののはずみ」が働いて、精神がそれ以前にはなかったような昂揚へと、いつの間にかたどり着いていたりする。
あなたもまた、“行く”と”戻る”が同時にあるような場で自身に血を通わせてみるといいでしょう。
今週のおとめ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
ぶらと世にふる
今週のおとめ座は、鬼の子なりに強くひたむきに生きていこうとするような星回り。
『蓑虫のぶらと世にふる時雨哉』(与謝蕪村)という句のごとし。「蓑虫(みのむし)」が枝にぶら下がる姿はどこかさみし気で、昔から鬼の子やみなし子とも呼ばれてきました。作者はそんな蓑虫に自身を重ねているわけです。
玉虫のように美しい見た目を持って盛んに求められる訳でもなく、鈴虫のように優れた音色で人に好まれる訳でもないが、北風が吹けば南にぶらり、西風が吹けば東にぶらりといった風でこれまでも人と争うことも、大きな災難に吞み込まれることもなく、何とかやってきたのだ、と。
あなたもまた、周囲との比較とではなく、心から自分が従いたいと思えるものに、粛々と心通わせていくべし。
今週のてんびん座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
仮りの庵にて
今週のてんびん座は、身辺整理を通して余分なものを削ぎ落としていこうとするような星回り。
日本三大随筆の一つ『方丈記』と言えば、その書き出しから深い無常感に裏打ちされた脱世俗の境地について書かれているものだと思いがちですが、実際に作者の鴨長明がもっぱら語っていたのは、京都の街の様子と自身の栖(すみか)についてでした。
長明は頭をそって僧衣をまとっていたとは言え、仏道修行者である以前に歌人であり音楽家でもありましたから、ここに書かれたささやかな財産目録はそのまま彼の生きてきた軌跡でもあり、その表現でもあったのです。
あなたもまた、どうしたら自分の生きてきた来歴を、できるだけ「軽み」をもって表現ないし配置していくことができるかということがテーマになっていくでしょう。