今週のかに座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
ちょうどいい甘みを
今週のかに座は、ふるまいや表情をさりげなく緩ませていこうとするような星回り。
『風邪床にぬくもりにける指輪かな』(中村汀女)という句のごとし。
「ぬくもりにける」という表現は常人からはなかなか出てこないだろうという意味で、実にたくみな言葉の駆使に感心させられる一句。しかしそれでいて、金属的な鋭利さだとかピーンと張り詰めたような緊張感ではなく、それは真逆のこちらが安心し、ホッとさせられるような通俗的な甘さをも感じさせてくれます。
あなたもまた、仄かな甘さを自身の言説や行動に織り交ぜてみるといいでしょう。
今週のしし座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
慕う
今週のしし座は、自身の真の姿を透視していこうとするような星回り。
古今和歌集に載っている『大空は恋しき人の形見かは物思ふごとに眺めらるらむ』(酒井人真)という恋歌について、かつて荻原朔太郎は『恋愛名歌集』で評していました。
ここには「心の故郷」へ回帰する道としての哲学、そしてプラトンの対話篇とはそれへの愛を問いただした痕跡に他ならなかったのだという詩人の洞察が示されています。彼の中では「実在(イデア)」という哲学的概念と抒情詩=恋愛とがこれ以上ない魅力的な仕方で結びついていたのでしょう。
今週のしし座もまた、単なる感覚的な享楽よりも真剣に求めていくに値するものに改めて向きあっていくべし。
今週のおとめ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
ととのう
今週のおとめ座は、大いなる循環や呼応へと自身の意識を溶け込ませていこうとするような星回り。
『をちかたのみどりさだまる冬日かな』(長谷川双魚)という句のごとし。中天にあってもいたってしずかな冬日と、それを受け止める緑のおだやかな円みと。その両者の呼応にこころゆだねた人の清冽な観照だけがここにあり、そこに垣間見える詩心の澄みにはのどかながらも非常に強い印象をうけるはず。
ここには自意識に閉じ込められて、世界をますます狭小なものへと縮めていく現代社会におけるごくありふれた人間の在り様とは、じつに対照的な存在の流儀が書き記されているのではないでしょうか。
あなたもまた、意識の原野をもくもくと耕していく農夫にでもなったつもりで過ごしてみるべし。
今週のてんびん座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
「今」を取り戻す
今週のてんびん座は、「ただ生きて働いているからだがあるだけ」という実感に近づいていこうとするような星回り。
「話す」の語源は「放す」にあるという説を聞いたことがありますが、誰かに話しかけるということ一つとってみても、現代の私たちはともすると言葉にうまくまとまらず口ごもったり、逆にひとりで空回りしているだけで相手には何も伝わっていなかったりして、「ことば」が成立していないことが思っている以上に多いのではないでしょうか。
そうした事態について、演出家の竹内敏晴は長年の演劇指導経験から指摘しています。
あなたもまた、「話しかける」ことをめぐる幾つかのレベルを意識しつつ、「からだ」が働いていく感覚に近づいていくべし。