今週のさそり座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
最もリアルな幻とは
今週のさそり座は、みずからの命を一生懸命に惜しんでいこうとするような星回り。
『秋刀魚焼く死ぬのがこはい日なりけり』(草間時彦)という句のごとし。長い目で見れば、いつの時代においても秋刀魚の味は値段以上に貴重なものだったのだろう。
作者は大正生まれだが、明治生まれの俳人・三橋鷹女にも、『あす死ぬるいのちかも知らず秋刀魚焼く』という句があった。作者は若いころから病弱で苦労してきた人で、できるだけ死ぬときは人に迷惑をかけず、ピンピンころりと死にたいといった死に対する恬淡とした態度は十分に備えていたはずだが、それでもうまそうな秋刀魚を焼いていたら、急に死ぬのが心底怖くなってきたのかも知れない。
あなたもまた、そんな風に死ぬのが心底怖くなった瞬間があっただろうかと、胸に手を当てて考えてみるといいだろう。
今週のいて座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
光あれ
今週のいて座は、これまで自然に行使してきた直観を一段深めていこうとするような星回り。
世界的な数学者である岡潔は、かつて直観には三種類あると述べていました(『春宵十話』)。第三種の直観は、例えば「立ち上がろう」と思ったその発端の気持ちそのものであったり、「無意識に言ったり行動したりした後からそれに気づく、そんな直観」で、「この種の直観は自然界には実に多」く、ここまで行くと「一つの生涯を一つの行為にあてることができる」のだと言います。
最後の直観を指して岡は「この直観があれば生涯は瞬間的現象にすぎないものとなり、また一つの行為を実践する一つの機会としか感じられない。そしてその底には宇宙の本体が悠久なものだという確信が伴っているのである。」と結んでいます。
あなたもまた、そうしたある種の運命的瞬間としての「第三の直観」へとイメージしてみるといいでしょう。
今週のやぎ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
ゴーーーーン!
今週のやぎ座は、極力余計な意味や目的を削ぎ落していくような星回り。
『物指(ものさし)で背(せな)かくことも日短』(高浜虚子)という句のごとし。
美しいわけでもなく、ドラマチックなわけでもない。特別な悲哀や、自然な人情が醸し出されているわけでもない。そうした、じつになんということのない日々を、どういう巡り合わせか作者は送っているのであり、そうした生身の偶然性そのものを取り出してみせたのがこの句の本質に違いない。
あなたもまた、そうした俳句の本質が自身の生き方や過ごし方にも通底させていくべし。