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2024年注目のリフォーム減税! 対面キッチンや防音床など子育て対応のリフォームで税制優遇

節約・マネー

政府が令和6(2024)年度の税制改正大綱を公表しました。年明けの国会で審議がなされ、正式に成立することが前提となりますが、岸田政権が力を入れる子育て支援での拡充が目立つものとなっています。その中でも筆者が注目したいのは、既存住宅のリフォームにかかわる減税措置に、「子育て対応したリフォーム」が追加されたことです。

従来の減税制度の期限延長が目立つ2024年度税制改正

2024年度の税制改正大綱を見ると、現行の登録免許税や不動産取得税、固定資産税、印紙税などの減税措置の期限延長が多くなっています。所得税も、長期優良住宅などの認定住宅を新築した場合や、マイホームを買い換えて損失が出た場合、既存住宅で特定のリフォームをした場合の現行の減税制度が延長されます。

住宅取得資金を親や祖父母から贈与された場合の非課税制度については、期限切れになるのかどうか注目していましたが、そのままの上限額で3年間延長となりました。

政府が力を入れる「子育て支援」のための減税

おおむね現状維持が目立つ税制改正大綱ですが、「こどもまんなかまちづくり」を掲げる岸田政権だけに、子育て世帯支援の制度の拡充を追加しています。ここでいう子育て世帯に該当するのは、「19歳未満の子どものいる世帯」(子育て世帯)または「夫婦のいずれかが40歳未満の世帯」(若者世帯)です。

ひとつは、住宅ローン減税の現行制度で、2024年・2025年に入居する場合は対象となる借入限度額を引き下げることになっていたものを、「子育て世帯・若者世帯」に限って引き下げずに維持することです。ただし、効果があるのは、新築住宅などを購入して限度額まで住宅ローンを借りる場合に限られます。省エネ基準に適合した住宅では、限度額が3,000万円に引き下げられるところ4,000万円のままになりますから、3,000万円より多くの住宅ローンを借りる場合にメリットが生じます。

もうひとつの子育て支援は、既存住宅のリフォーム減税に、子育て世帯・若者世帯が「子育て対応リフォーム」をした場合が追加されたことです。子育て対応リフォーム減税は、対面式のキッチンに交換するなど、人気のリフォームが条件となっているので、使い勝手がよいと思います。どういった制度なのか、次から詳しく見ていきましょう。

子育て対応リフォーム減税とは?

子育て世帯・若者世帯が、所有する居住用の住宅に一定の子育て対応リフォームをして「2024年4月1日~12月31日まで」に居住した場合に、工事費用の10%相当額を所得税の額から控除するというものです。

では、どういったリフォーム工事が対象になるのでしょうか? まだ正式に決まっているわけではないので、詳細は発表されていませんが、次のようなリフォーム工事とされています。

(1) 住宅内における子どもの事故を防止するための工事
(2) 対面式キッチンへの交換工事
(3) 開口部(出入り口や窓など)の防犯性を高める工事
(4) 収納設備を増設する工事
(5) 開口部・界壁(マンションの隣戸との間の壁)・床の防音性を高める工事
(6) 一定の間取り変更工事

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出典:国土交通省「令和6年度 国土交通省税制改正概要」

子育て世帯に限らず、多くの世帯で収納不足に対応するために収納設備を増設したり、人気の対面式キッチンに交換したりといったリフォーム工事が多く行われていますし、間取り変更を伴うリフォームも多いです。そのため、減税のためにリフォーム工事を見直すといったことをせずに済むという点で、使い勝手がよいと思ったわけです。

どの程度の減税になるかは、二段階に分かれます。まず、子育て対応リフォームに該当する工事費用相当額(実際の工事費用ではなく、定められた工事ごとの標準的な費用)の限度額250万円までについては、10%を控除します。なお、工事費用相当額が50万円を超える必要があります。

次に、子育て対応リフォーム工事で限度額を超えた額、または子育て対応リフォームと併せて行うリフォーム工事費用の額について、1,000万円から子育て対応リフォーム工事を除いた額までについて5%を控除します。

ただし、工事費用について補助金などの交付を受ける場合は、その額を費用から差し引く必要があります。

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※必須工事分は10%控除分も5%控除分も標準的な費用相当額となる

このほか、控除を受ける人の合計所得金額が2,000万円を超える場合は減税対象にならないなどの条件があります。国会で成立したら、詳細が発表されると思いますので、必ず最新情報を確認してください。

どんなリフォーム工事なら減税の対象となる?

子育て対応リフォーム減税は、新たに創設されたものではありません。既存住宅に特定の改修工事をした場合の特別控除の制度に、追加されたものです。ほかにも減税対象となるリフォーム工事があるのです。

簡単にまとめると、次のような減税制度があります。いずれも、政府が力を入れている政策に関連しています。巨大地震に備える「耐震」、高齢化社会に備える「バリアフリー」、カーボンニュートラルで求められる「省エネ」に加えて、祖父母と親子世帯の同居対応や長期優良住宅化のリフォームも減税対象に追加されました。これらの現行制度は、2025年12月31日まで延長されました。

子育て対応リフォームは2024年12月31日までの短い期限の減税なので、その点に注意しましょう。

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※カッコ内の金額は、太陽光発電設備を設置する場合
国土交通省「令和6年度 国土交通省税制改正概要」を基に筆者が作成

それぞれ併用できる制度と併用できない制度がありますので、その点にも注意が必要です。また、固定資産税でも減税になる場合がありますので、それぞれに詳しい情報を入手しましょう。

こうした政府が力を入れている政策に関連するリフォーム工事は、各省庁や自治体で補助金を交付する場合もあります。特に、耐震、バリアフリー、省エネでは補助金などの支援制度を用意している自治体も多いですから、該当する補助金もないかを調べて、上手に活用するとよいでしょう。

減税や補助金を活用すれば、負担が軽減できるだけでなく、予算的に諦めていた工事も対象にできるなどのメリットがあります。補助金の場合は、基本的に年度ごとに予算を組んで広報しますし、予算に達すると受け付けが終わるものなので、情報を見逃さないようにしたいものです。

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