今週のかに座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
私であって私でない私かな
今週のかに座は、まっとうで健やかな軽妙洒脱さを帯びていくような星回り。
『太陽は古くて立派鳥の恋』(池田澄子)という句のごとし。あくまで自分自身の心が出発点であり、この世のあらゆる営みの根本であり、鳥や太陽のそれをはかる原器に他ならないのだ。
そうした「私」の介入の当然の帰結として、掲句にはただただ自然観察に徹した冷静さや精神の鎮まりの代わりに、どこか対象を茶化すようなユーモアややわらいだ空気の流れのようなものが感じられる。
あなたもまた、そうした作者のしなやかな精神性を一つの指針としていくべし。
今週のしし座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
焦らず床を踏み抜いて
今週のしし座は、みずからが犯している「ただ一つの大罪」を償っていこうとするような星回り。
『変身』や『城』などの不条理小説などで知られるプラハ生まれの作家フランツ・カフカは、小説だけでなくアフォリズム集も残していますが、その「罪、苦悩、希望、及び真実の道についての考察」というタイトルの通り、人間がなめうるあらゆる辛酸についてのカフカなりの言及が記されています。
ただ、ここで注目しておきたいのは彼が<罪>について言及している箇所。
あなたもまた、慌ただしく目の前の仕事や目先の関心を追おうとするのではなく、いったんペースを落として、呼吸を整えていくよう心がけていくべし。
今週のおとめ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
ズドン
今週のおとめ座は、他者や対象へのピントを巧みに調整していこうとするような星回り。
『かくれんぼ入れてふくらむ春炬燵』(八染藍子)という句のごとし。掲句が見事におさまっている理由は、ひとえに「春炬燵」という季語の選択にあり、それによって生じるニュアンスの絶妙さが冬や夏、秋など他のどの季節に置き換えても成り立たない点にあるわけです。
こういう句を、よく俳句の世界では「季語が動かない」と表現しますが、その実現はたまたまの偶然などではなく、本人がいかに日頃から真摯に季語と向きあい、感度の良いアンテナを張り巡らせているかということにかかっているはず。
あなたもまた、身近なパートナーであれ、大事な取引先であれ、他でもなく「これでなければ」という‟動かなさ”を追求していくことがテーマとなっていくでしょう。
今週のてんびん座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
沈黙週間
今週のてんびん座は、人生の「流れ」の書き換えを試みていくような星回り。
実存主義の源流であるキルケゴールは、「人と人との間で最高なのは、弟子は教師が自分自身を理解する機縁であり、教師は弟子が自分自身を理解する機縁である、ということだ」と語っています。
機縁とは「きっかけ」の意味ですが、知的な刺激を最大限に受けられるような人との出会いこそ、人生の「流れ」を書き換え、人を新しい生へと生まれ変わらせる最大の「瞬間」なのだと言っているのです。ひるがえって、ここ最近、あなたが最も精神的に刺激を受けたのは、一体どんな瞬間だったでしょうか。
あなたもまた、そんなことを思い起こしつつ、新たな生がどこへ向かって走り始めているのか、きちんと確認してみるといいでしょう。