『不適切にもほどがある!』が注目度を増している。ネットでは、「見なかったの後悔する」という声もあがっていて…。
放送中のドラマ『不適切にもほどがある!』(TBS系)が好評だ。コンプライアンス遵守が求められる昨今、攻めた内容がネット上でも話題を呼んでいる。
なぜ、これほど多くの人を惹きつけるのだろうか…。
■「昭和のオヤジ」が令和にタイムスリップ
『不適切にもほどがある』(以下、『ふてほど』)は、阿部サダヲ演じる主人公が1986年の昭和から2024年の令和にタイムスリップするところから始まる。中学校の体育教師で野球部の顧問を務める主人公は、子供達をケツバットで殴って気合いを入れる、教室や公共交通機関でたばこを吸う、女性にセクハラ発言をするなど、令和では物議を醸す言動を取る豪快な人物。
そんな彼がコンプライアンスに厳しい令和の時代に周囲と衝突しつつも、家族や新しく出会った人達と絆を深めていくヒューマンコメディだ。脚本は「クドカン」でお馴染みの宮藤官九郎が手がけ、出演者も主演の阿部をはじめ古田新太、吉田羊、仲里依紗、磯村勇斗など豪華なメンバーがそろっている。
■「見てなかったの後悔するレベル」
主人公が昭和と令和のギャップに奔走する様子をコミカルに描いた同作は、毎週金曜日の放送のたびに話題に。Xで「ふてほど」がトレンド入りすることも多い。
ネット上でも、「家族愛の押し付けは無いけど感動する展開がある」「会社の会食で話題になって見始めたけどめちゃくちゃ刺さる」「これ、今の世の中が欲してたドラマじゃないかな」「もう5話終わってて、見てなかったこと後悔するレベル」など、夢中になる人が続出している。
『ふてほど』が人気を博した理由を探るため、関係者に取材した。
■時代背景とストーリ展開が魅力的
ある制作会社関係者は、『ふてほど』は特に30代~40代の人に刺さった印象を受けると指摘する。
「この世代は、昭和ほどではないものの、1990~2000年代のまだコンプライアンスの縛りが少なかった時代を経験しています。公共交通機関でたばこを吸う人を見かけたり、部活動で『水を飲むな!』と叱られるなど、ドラマで描かれる日常に懐かしさを覚える人が多いのでしょう」(制作会社関係者)。
時代背景に加えて、ストーリー展開も人気を博した理由の一つのようだ。
前出の制作会社関係者は、「最近は原作となる漫画や小説をもとにしたドラマが多いです。こうした作品は結末をネットで調べて、視聴をやめてしまう人もいます。その点、『ふてほど』は完全オリジナルで、1話完結でありながら物語の最後に次の話へ興味を持たせる演出なので、毎週視聴したくなるのでしょう」と話す。
■タイムスリップの「弱み」もカバー
今作は、昭和から令和へのタイムスリップが大きなテーマ。昨今、漫画や映画、ドラマで「タイムスリップ」を扱う作品は珍しくない。
『ふてほど』は、タイムスリップ作品の「弱み」をカバーしているようで…。「主人公が過去や未来に行く物語は定番であるゆえに、見る人の目も肥えています。そのため、時間軸の対比をしっかり描かないと、『よく分からない』といった批判につながりやすいんです。『ふてほど』は登場人物の服装や髪型、ちょっとした言動など細かい部分でも昭和と令和の違いを表現しているため、分かりやすく、万人に受け入れられるのだと思います」(前出・制作会社関係者)。
本日3月1日の放送回から、ドラマは後半戦に入る。この先、主人公をはじめとする登場人物達にどんな展開が待ち受けているのか、“気になるにもほどがある”!
■執筆者プロフィール
斎藤聡人:1991年生まれ。『Sirabee』編集部記者。
某週刊誌の芸能記者を経て現職に。旧ジャニーズネタなど、芸能ニュースを中心に様々なジャンルを取材する。
チェーン店からローカル店まで様々な飲食店をめぐり、グルメ記事も手がける。仕事も兼ねた毎日のドラマ鑑賞が日課。
今期の推しは、『正直不動産2』(NHK)、『院内警察』(フジテレビ系)、『不適切にもほどがある!』(TBS系)。
『不適切にもほどがある!』では、大事な場面で”愚か者”がギンギラギンにならない「ムッチ先輩」(磯村勇斗)がお気に入り。
(取材・文/Sirabee 編集部・斎藤聡人)