今週のかに座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
すべてが最中であるならば
今週のかに座は、自分を「恥ずかしい人間」として笑い飛ばしていこうとするような星回り。
18世紀イギリスの古典的名作であり、夏目漱石も絶賛したジェイン・オースティンの『高慢と偏見』の登場人物は、誰一人として完璧な人物がいません。作者オースティンのまなざしは、登場人物全員を平等に「恥ずかしい人」として扱うのです。
母親の過剰な心配性も、父親の辛辣さや無責任さも、若い娘にやりこめられるお金持ちだがコミュ障の青年も、激しい思い込みでやらかす友人も、作者が片っ端から笑い飛ばしていくことで、その存在が根本のところで許され、救われていく。
あなたもまた、理想ばかり追うのでも、かと言って現実から目を逸らすのでもない、自分の立派じゃなさを、たはは、と笑って許してくれるようなまなざしを取り入れていきたいところです。
今週のしし座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
弱くあるがゆえのしあわせ
今週のしし座は、他人の視線を基準にしてしまう頭をリセットしていこうとするような星回り。
『菫ほどの小さき人に生まれたし』(夏目漱石)という句のごとし。
例えば作家や俳優、音楽家のような人間もまた、病んでは逃避しての繰り返しですから、自然界の基準からすればほとんどがクズみたいなものです。その点、ただなんとなく生まれてきつつも、咲き頃をわきまえつつ咲いては散っていく野に咲く菫のような一生こそ、最高に幸福な存在なのかも知れません。
あなたもまた、本当のしあわせとは何かということを一から考え直してみるといいでしょう。
今週のおとめ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
個の根底にあるもの
今週のおとめ座は、自分もまた同じ穴のムジナであることを認めていこうとするような星回り。
「女という性」に斬り込んでいく中村うさぎのごとし。
どうしようもくなく愛し愛されたいという欲望の源泉は、結局ナルシシズムなのだと彼女は言う。さらに、それは「『孤独』という名の、決して埋まることのない穴」なのだと。
あなたもまた、投影対象にただただ耽溺するのではなく、きちんと自身の「穴」に向き合って、自分なりの言葉でそこに問いかけていきたいところです。
今週のてんびん座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
逆巻く思いに光を当てていく
今週のてんびん座は、過去と未来とを自身の言動を通して繋げていこうとするような星回り。
『隠岐やいま木の芽をかこむ怒涛かな』(加藤楸邨)という句のごとし。島をとり囲んでは、激しく渦巻く潮の流れのように、四方からやってきてはみずからのうちでぶつかりあう感情のうねりに、あるいは作者は圧倒され、どうしていいか分からずにただ茫然としていたのかも知れません。
しかしそれでも、歴史と現在とをみずからの行動の中で結びつけつつ、それをあくまで自分事として捉えていく作者の姿勢は、現代の私たちにとっても一つの指針となるものであるはず。
あなたもまた、エモの渦のなかで自身の来し方行く末を占っていきたいところです。