無料の会員登録をすると
お気に入りができます

「すきないろは、なんですか?」 ミナ ペルホネンの皆川 明さんが、こどもに伝える"四次元デザイン"の仕掛け

「人生で情報や知識がインプットされてきた大人にとって僕のデザインは、どこかでこの風景を見たことがある、同じ体験をしたことがある、といった記憶を呼び起こすものかもしれません」

「一方で、こどもの受け止め方は自由そのものです」

picture

おそろいのminä perhonenの洋服でトークイベントに参加した親子
写真提供:土屋鞄製造所

ランドセルの内装用に描きおろした絵柄には、馬にも犬にも見えるような動物や、群れの中で一羽だけ反対を向いて飛んでいる鳥が描かれています。これは、こどもの想像力や自由な意志を尊重したいというメッセージだそう。

「あえて大人が決めずに、こどもの想像力に任せたい。こどもが『自分で決めていいんだ』と感じられる余白があるような絵にしたいと思っています」

picture

写真提供:土屋鞄製造所

そんな皆川さんは、こどもたちと一緒に絵の「描き合いっこ」を楽しむこともあるといいます。

「こどもが描いた絵に僕が付け足して、その後にまたこどもが描き足して、気が向くまま順番に延々と描き続けるんです。相手の空想に自分が乗っかっていく感じでしょうか。『次はどうなるのかな?』などと合いの手を入れると、こどもの想像力のスイッチが入るようです。逆に『描きたくて仕方なくてもう待てない!』というこどものエネルギーにこちらが触発されることも多いです」

「だんだん一つの物語ができ上がっていくんですが、最初に思っていた世界とはまったく違う世界になるんですよね。思い通りにならないことがあるというのは、この社会と同じ。現実にも常に起こりうることですが、空想の世界でそのやりとりをすると、自由と不自由の混ざり合いがおもしろいんです」

「好きな色は?」の答え

そして、冒頭の「好きな色」の質問に対する、皆川さんの答えは。

「実は、全部の色が好きなんです。一番好きな色がないのはなぜかというと、色って一つの色だけが存在していることはあまりなくて、だいたい隣に違う色がいるから。この色とこの色が一緒にいると仲が良さそうだなとか、もしかしたらちょっと仲が悪いかもとか、そういうふうに色と色が一緒にいる気持ちよさや楽しさを考えながら見ているんですよね」

それでも、「よく使う色は青が多い」と皆川さん。その理由は、空の色として常に目に飛び込んでくることと、混ぜるといろいろな色に変化しやすい色だからだと説明しました。

「だから、色鉛筆の中にある色だけじゃなくて、ちょっとずつ色を混ぜてあげると、きっと楽しいはず。お料理でいろいろな味を楽しむように」

picture

森羅万象を描いた図案「daily cosmo 日々の宇宙」
画像提供:土屋鞄製造所

2025年度入学のランドセルでは、こども向けに「森羅万象」を表現した図案「daily cosmo 日々の宇宙」が登場しています。同じサイズに揃った正方形のマスの中に、自然、生き物、空間、色などさまざまなモチーフがミックスされた、一見すると幾何学的な絵。しかしそれぞれのモチーフをよく見ると、花に見えたり星に見えたり猫に見えたりと自由に想像できるものばかり。マスの中にきっちり収まりながらも、それぞれのモチーフは自由で多様な空間の使い方をしています。

「これも社会を象徴していて、会社という決まった組織の中にもいろいろな人がいるし、血がつながった家族であっても異なる人間性を持っています。こどもたちが一つ一つのモチーフから空想を広げてくれることを願っています」

皆川さんがランドセルのために描きおろした絵は、2024年7月1日まで土屋鞄製造所 西新井本店で開催中の土屋鞄製造所 × ミナ ペルホネン 原画展「アトリエのうら」で見ることができます。「daily cosmo 日々の宇宙」のエレメント30点を自由に壁に貼り付けて一つの絵をつくる体験ブースも登場しています。

土屋鞄製造所 × ミナ ペルホネン 原画展「アトリエのうら」

※2024年4月23日にあった土屋鞄製造所のトークイベントの内容を元に構成しました。

picture

OTEMOTO

オリジナルサイトで読む
記事に関するお問い合わせ