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老舗つっぱり棒メーカーが選択的夫婦別姓に賛成したきっかけは、社長の嫉妬心だった。「そこにいるべきは私なのに」

つっぱり棒は購入頻度が高くない日用品のため、お客様が必要だと感じたときにホームセンターなど小売店に行って、売り場に並んでいるものを手にするという購入スタイル。特定のメーカーの商品を指名買いするような関係性になりづらく、メーカーもお客様の声を把握しづらいんです。

私が「つっぱり棒博士」を名乗って正しい使い方や活用法を解説しているのは、商品とお客様をつなぐ橋をつくるため。デザイン性を重視したコラボレーションブランド「DRAW A LINE(ドローアライン)」や、つっぱり棒の構造の一部を生かしたDIYパーツ「LABRICO(ラブリコ)」など、新しい価値を提供する新ブランドも立ち上げました。

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アクセサリーと組み合わせるインテリア性の高いつっぱり棒シリーズ「DRAW A LINE」
写真提供:平安伸銅工業株式会社

いま目指しているのは、メーカーの枠を超えること。暮らしを変えたいという思いを実現させるために、商品だけでなく、取り付けサービスやアフターサポートなど全方位から総合的に暮らしの課題を目指します。

製品のスペックや価格の競争だけでなく、つくり出す世界観や企業としてのスタンスを総合して、私たちの製品を「買いたい」「応援したい」と思ってもらえるような関係性をつくっていきたいです。

ーー直接的な売上につながりにくい社会課題にも向き合う意義をどう考えますか。

うちの場合は、短期的な収益目標を追う戦略づくりは夫、中長期的に目指す場所の話をするのは私と、夫婦で役割分担することでバランスを取っています。私は自分のことを「イタコ」だと言っているのですが、組織に魂があると考えたときに、未来の姿やなりたい状態を言語化して社内外に発信するのが役割だと思っています。

短期的な目標も中長期的な理想もどちらも大事です。ただ、短期的な目標は現実から予測可能な成果を積み上げていくもの。一方で、未来からのバックキャスティング(逆算)で考えると、現状の取り組みからは絶対にたどり着かないゴールにジャンプすることもあるでしょう。そこで「非連続な成長」が生まれるのではないでしょうか。

すぐに収益につながらないことでも、3年後や5年後には花開いて、今とはまったく違う平安伸銅工業になっているはず。積み上げた現実と理想がギュッとつながる瞬間があるかもしれません。そんな一段違う新しい景色をみんなで見たいから、社会課題に真摯に向き合っていくことに迷いはありません。

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OTEMOTO

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