「金融関係の仕事している友人も多いのですが、相談すると『向いてるよ、やりなよ!』と言ってくれる人が多くて。周りに実際に起業をしている人もいましたし、何より母親も経営者だったので、『私にもできるかもしれない』と考えられるようになったんです。みなさんが思われるよりも、だいぶ気軽に決めた起業だったんですよ(笑)」
起業のタイミングで事業のヒントとなったのは、女性ならではのキャリアとライフイベント。がむしゃらに働き体調を崩してしまった自身の過去を振り返り、「これからは自分の健康も無視できない」と感じたからだと谷内さんは話します。
そこでフォーカスしたのは、女性のセルフケアの大切さです。周囲でもPMS(月経前症候群)や妊活に悩んでいる人がいたこともあり、人知れず悩みを抱えている女性をサポートしたいという思いで2020年にスタートしたのが、セルフケアやフェムテックを中心としたブランド「WRAY(レイ)」でした。
「私自身が強い思いをもって始められることがいいなとずっと思っていたので、”セルフケア”というテーマがしっくりときたんです。世界的にもフェムテックという言葉が出始めてきた頃だったので、さまざまなタイミングがピッタリと合って生まれたのがWRAYでした」
冷えを防ぎ快適に過ごせるシルクウォーマーやシルク製五本指ソックス、低刺激性のデリケートゾーンソープなどを開発・販売しているWRAY。2023年からはユーザー同士が交流できるコミュニティ「LIFT with WRAY」も運営するなど、さまざまな形で女性たちのサポートに取り組んでいます。
「仕事に家事、育児など、女性たちは本当に慌ただしく毎日を過ごしています。自分もそうですが、そうしてバタバタと過ごしているうちにあっという間に時間が経ってしまうんです。そんな状況でも、情報交換や対話を通して助け合えるプラットフォームをつくりたいと思ったことが、LIFT with WRAYをスタートさせるきっかけでした。会社としても、どのような方が製品を手に取り、どのような意見があるのかがわかるので、商品開発にもフィードバックをもらうなど、とても良い相乗効果を生んでいます」
写真提供:WRAY
仕事と子育てに奮闘し、夢だった起業も叶えた谷内さん。自身の経験を生かした視点で事業を展開しつつ、女性たちの背中をそっと後押ししています。
現代を生きる女性たちに向け谷内さんが伝えたいのは、何よりも自分を大切にする「自分ファースト」のメッセージです。
「心身の不調を押し殺し、一生懸命頑張りすぎている女性は本当に多い。そのせいでストレスを溜めてしまっては、仕事にもプライベートにも悪い影響を与えてしまうと思います。自分自身を大切にし、体調やメンタルを整えることで、良いサイクルが生まれていく。そうすることが、結果的に自分だけでなく周りの幸せにもつながることを知って欲しいです。そして、あなたは一人ではないということも忘れないでいて欲しい。オープンマインドにさまざまな人と素直な気持ちを共有し、ストレスの解消やメンタルケアにも役立てもらえるといいですね」