教育費に老後資金、そして目の前の生活費。お金の悩みは尽きませんよね。今回は資産運用サービス「ウェルスナビ」の小松原さんが、教育費が足りるか不安という読者の悩みに回答します!
相談内容「教育費が足りるか心配です……。」
私と夫は40代、小中学生の子どもが2人います。二人とも、私立の高校・大学への進学を希望しています。夫婦の世帯年収は700万円で、今後どうやって教育費を準備していけばよいか悩んでいます。家賃は賃貸で月10万円ですが、毎月どのくらい貯金ができれば、安心できますか。
回答してくれるのは、ウェルスナビ株式会社 小松原さん
働く世代が豊かさを実感できる社会をつくりたいという理念に共感し、ウェルスナビにセミナー講師として入社。これまでに、500回以上の資産運用セミナーに登壇し、参加者からの多くの質問にも答えている。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。
教育費の準備に必要な3つのステップ
身の回りの品の値上げに加え、大学の学費の値上げに関するニュースも目にするようになりました。「この先の教育費、準備できるだろうか」と考えると、不安になるのも仕方ありません。
「いくらかかるのか分からない」という状態よりは「〇年後までに〇〇万円が必要」と明確にするほうが、漠然とした不安から抜け出せるかもしれません。
教育費準備のために必要な、3つのステップを紹介します。
1.貯蓄計画を立てる
相談者さんは、子どもが二人とも私立の高校、大学への進学を希望しているとのことです。
教育費は、子どもの進路によって将来大きく変わります。国公立か私立か、理系か文系か、大学は自宅から通うか一人暮らしするか、など。今のうちに「どういう進路になったらどのくらいお金がかかるのか」を把握することが大切です。
教育費で一番お金がかかるのは「高校~大学」ですが、実際にどのくらいかかるのでしょうか。高校入学から大学卒業までにかかる教育費用(入学金や授業料)は、合計で942万円だったという調査結果があります。私立大学に進学した場合は、文系は951万円、理系で1,083万円でした(※)。
二人合わせると2,000万円近くかかるのか……と思うと気が遠くなってしまいそうです。ただ、ポイントは「まとまったお金として2,000万円必要」というわけではない、ということ。一度に大きなお金が必要なのは、入学金がかかる入学1年目などです。
次に、「まとまったお金はいつ必要になるか」も計算しておきます。仮に、相談者さんの第一子が中学1年生だとすると、高校に上がる2年後に資金が必要になります。
そして、今の貯蓄額と将来必要になる額を比べます。「2年後までに150万円ためる」「二人ともお金がかかる時期に備えて、毎月3万円ためる」など、目標から逆算した貯蓄計画を立てておくことをおすすめします。
この時、物価上昇についても頭に入れておく必要があります。大学費用も今と比べて、5年後10年後は値上がりしている可能性もあるからです。例えば10年後の大学資金であれば、現在の学費の1割増しでかかる想定で計算しておくのがよいでしょう。
2.家計の見直し
計画通りにお金を準備するために、家計にどれだけ余力があるのかを見ていきます。
一般的に、家計の中で一番大きな割合を占めるのは住宅費です。住宅費は収入の20%までに抑えるのが望ましいとされています。
相談者さんの場合、家賃が月10万円なので、年収に対して無理なく払える金額におさまっていますね。この場合だと、貯蓄に回すお金も増やせそうです。
今後引っ越す可能性はあるかもしれませんが、住宅費を収入の20%におさめると、無理なく貯蓄が続けられると覚えておいてください。
家計の中で教育費にまわすお金をあらかじめ決めておくと、計画的に貯金することができます。たとえば、「児童手当には手をつけず、全額を教育貯金にまわす」のも一つの手です。月々の出費として使いたくなるかもしれませんが、すぐに貯蓄用の口座に移すなど工夫をしましょう。
今の収入だけでは心もとないと思った場合は、収入アップを狙うのも手です。転職を検討したり、資格をとってスキルアップをしたりすることも考えてみてはいかがでしょうか。
こうして家計改善をしても自力で全額準備できない場合、別の手段もあります。所得の要件はありますが、国の就学支援制度が活用できますし、奨学金や教育ローンを借りることも選択肢に入れてみてください。