堤監督って現場でおもしろいアイディアをポンポン出すんですけど、現場のみなさんがおもしろがって「こういう感じはどうですか」って提案するので、より良いアイデアが生まれて行ったんだと思います。
――現場でどんどんアイデアが生まれて、作品がより良くなっていく。
監督は昔から本当にセンスがすごく良くて“さすがだな”って思うところがたくさんあるんですよ。本当にちょっとしたアイデアがすごくおもしろいし、どんどん思いつくので、現場でパッと思いついたことがカットの雰囲気をより良くしてくれる。
『トリック』の時も、「これやって」「あれやって」「このギャグやって」っていうことも多くて……。その昭和のギャグが分かりません! って言ってすぐに調べてやったりしていましたね(笑)。
――そんなことがあったんですね……!
現場で生まれるアイデアの量も多いし、テンポも速いので当時はついていけない! ってなっていた事もありました。でも、本当におもしろいので、スタッフもキャストもみんながおもしろがって取り組めるっていうのが堤組だと思います。
――逆に、10年ぶりのタッグで「ここは変わったな」と感じた部分はありましたか?
『トリック』の時は本っっっっっ当に大変な撮影期間を過ごして……! カット割りって普通は段とか無くて縦に分かれているだけなんですけど、堤監督のは1ページに3段カット割りがあって1シーン300カットとか平気であったんです。
これもうてっぺん(深夜0時)超えるな〜って時もあったんですけど、もう今はすごくカット割りが少なくシンプルになってましたね。今回は映画だからってこともありますけど、カット割りが洗練されていました(笑)。テンポが良いので終わりも早いですし……。
阿部(阿部寛)さんに言いたいですよ。「すごいですよ! 今の監督、パワーアップしてます!」って。
役から得てきたパワーや価値観
――今年で30周年を迎える仲間さんですが、これまでを振り返ってみていかがですか?
20代も30代もがむしゃらに仕事をして、目の前の役を一生懸命こなしてきました。スケジュールが少ない中で大変なこともありましたけど、役から元気をもらったり、パワーをもらったりして繋いできたかなという感じ。
「この役できるかな?」「体力持つかな」って不安もありながらも、『ごくせん』のヤンクミだったら、生徒たちにかける前向きな言葉みたいなのものの中から、自分も前向きさや強さをもらった気がしますし、そういう価値観を私は作品の中の役で培ってきたのかなと思います。
――すごくすてきです。それはご自身が出産を経験してからはまた変わったりしましたか?
やっぱり育児に時間を割くことが多くなって、自分の中で「大丈夫かな」「うまく回ってなくて不安だな」と思っている時期もありました。
けれど、こうしてなんとなく自然なリズムの中で仕事をまたちょっと続けていく中で、やっぱり改めて“信じることの強さ”とか、“怖がらずに前に進んで行ってもいいんだよ”とか、私が今まで作品から貰ってきた価値観みたいなものはあまり変わらず、ずっと自分の中にはあるような気がします。
――仕事への向き合い方や価値観に変化はあったのでしょうか。
役や作品に対して昔よりちょっと理解が深まるようになってきましたし、より集中してアプローチできるようになってきたかなと思います。今の生活だからですかね。
台本を覚える、台本を読む、役作りをする……という時間が、一日の中で前よりもやっぱり取りにくくはなってきたので、何日か時間をかけてしっかりと準備をするようになりました。
――少しずつ、人生に合わせてアップデートされているんですね。では最後に、作品を通して伝えたいことを教えてください。
子供たちが夢を持って進んでいきたいってなったときに、親としてどんなことをしてあげられるか、どういうふうな感じで送り出してあげられるかなっていうことも描かれているお話です。
子育て真っ最中の方、若い人たちにも、夢を追いかけるときの最初のわくわく感とか不安とか、そういうものが自分にもあったなというふうに、懐かしんで見てもらえるような部分もあると思うので、ぜひいろんな方たちに見ていただきたいです。
映画『STEP OUT にーにーのニライカナイ』
堤幸彦×仲間由紀恵 10年ぶりの再タッグ!
独自の環境とカルチャーによって、暮らしの中に音楽やダンスが溶け込む沖縄。母親の朱音(あかね)、妹の舞(まい)と3人暮らしの照屋踊(よう)は、ダンススクールのリサに憧れ、ダンスを始める。朱音は家計を支えるためスナックで働き、人とのかかわりが苦手な舞はスクールの前でいつも兄の姿を一心に見つめていた。やがて踊はリサとペアを組むようになり、だんだんとその才能を開花させていく。
そんななか、朱音のもとに一本の電話があり、ある男が訪ねて来る。偶然、家の前で男を目撃する踊。後日、テレビでダンスオーディションを開催すると発表した音楽プロデューサーのHIROKIが、その人だった……。
リアルな沖縄の日常と空気感の中で、ダンスを通して少年の挑戦と成長、家族の絆を描くヒューマンドラマ。
監督:堤幸彦
共同監督:平一紘
脚本:谷口純一郎
配給:ギャガ/配給協力:大手広告/©「STEP OUT」製作委員会