今週のかに座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
説明ではなく真を照らし出すこと
今週のかに座は、真実を照らし出すためにこそ嘘を上手に使いこなしていこうとするような星回り。
『古庭のででむしの皆動きをり』(高浜虚子)という句のごとし。
カタツムリは非常にゆっくり動く生き物で、人間の感覚からすればそのほとんどが止まっているに等しいはず。そうなると、掲句はもちろん想像のなかでのイメージであって、厳密に言えば「嘘(虚構)」ということになりますが、だとすれば「真(現実)」はどこにあるのか。
あなたもまた、嘘(うそ)を真(まこと)に見せるための工夫に覚悟をもって臨んでいくべし。
今週のしし座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
信念を曲げる勇気
今週のしし座は、ノイズにまみれた生活音の中から、真実味のある音の響きを聞き分けていこうとするような星回り。
作家の村上春樹は『遠い太鼓』のなかで、「ある朝目が覚めて、ふと耳を澄ませると、何処か遠くから太鼓の音が聞こえてきた。ずっと遠くの場所から、ずっと遠くの時間から、その太鼓の音は響いてきた。とても微かに。そしてその音を聞いているうちに、僕はどうしても長い旅に出たくなったのだ。」と書いています。
おそらく、それは物理的な「音」というより、今いる自分とは別のレイヤーの現実からの誘いであり、あるいは自身の内部からむくむくと湧いてきた未知への衝動が「音」へと置き換わって経験されたものと考えられます。
あなたもまた、自分の胸にそっと手を置いて、自分の内部深くから浮上しつつある未知への衝動に、よくよく耳を澄ませてみるといいでしょう。
今週のおとめ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
蛇になる
今週のおとめ座は、多層的な感情や深い物語性をその身に纏っていこうとするような星回り。
『怒れる蛇美しき迄(まで)太り居り』(桜井土音)という句のごとし。
掲句は単なる写生句ではなく、蛇に託された民俗的、神話的、物語的な深層意識を読んだ一句であり、いわば異類が人間に語りかける沈黙の言葉が、詩という形で浮上したものなのだと言えます。
あなたもまた、掲句の蛇のように、怒りと美しさにまつわる物語を身をもって示していきたいところです。
今週のてんびん座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
神秘なる水の力を借りて
今週のてんびん座は、海に抜けていくためのかぼそい通路を通っていく川の流れを、みずから体現していこうとするような星回り。
誕生や死などのライフイベントしかり、洗礼などの宗教的儀式しかり、後戻りできない決断や行動を表す「ルビコン川を渡れ」などの慣用句しかり、人がその人生の節目に迎える通過儀礼というものはすべからく「水を渡る」ことに象徴されます。
例えば、都会を逃れた田園生活での、自らの病的な心理や心象風景を描いた佐藤春夫の『田園の憂鬱』では、さまざまな川の描写が登場します。
あなたもまた、自力を呼び水に誰かの力を借りるのであれ、はなっから他者を頼るのであれ、ピチピチとした精神の弾力性を取り戻していくことがテーマとなっていくでしょう。