今週のかに座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
霊性のロジック
今週のかに座は、これまで積み重ねてきた経験やなんとなく抱いていた仮説や考察を、ひとつの概念に仕立て上げていこうとするような星回り。
禅を世界的に広めたことで知られる鈴木大拙は、太平洋戦争末期の1944年に出版した『日本的霊性』において、当時戦意高揚のため盛んに唱えられていた「日本精神」という迎合的かつ中途半端な言葉に反発し、特定の宗教の教理に縛られず、体験的に把握される人間の宗教的本性として「霊性」という言葉をあえて使いました。
ただ、大拙は霊性のはたらきというものを、個人的体験をもって語るのではなく、論理として普遍的に通用するような公式として示すことで、ひとつの強靭な思想にしていこうとしたのです。
あなたもまた、自分がなんとなく抱いてきた問題意識に明確な形を与えていくことがテーマになっていくでしょう。
今週のしし座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
冷たく澄んだひかり
今週のしし座は、どこかで忘れかけていた精神の冴えを不意に思い出していくような星回り。
『梅雨といへどもつらゝのひかりながむれば』(田中裕明)という句のごとし。掲句最大のインパクトは、家の中から眺めていた降りしきる梅雨の雨が、氷柱(つらら)の光のように見えると言ってみせた大胆さでしょう。
夏とは正反対の冬の風物詩を持ってくるのは物理的にはありえないことですが、この季節感のねじれは「長雨(ながめ)」と「ながめ(眺め)」の掛詞(異なる意味の音的重なり)となっている下五と結びつくことで、過去の時間と遠くへのまなざしとの融合のなかで自然と解消されていきます。
あなたもまた、懐かしいような新鮮なような不思議な気持ちになれる場所へと、できるだけ一人きりで訪れてみるといいかも知れません。
今週のおとめ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
いつもの街の、見たことのない景色の再発見
今週のおとめ座は、自分なりの“倫理の埒外”を誰かと共に作りあげていこうとするような星回り。
往々にして「仕事として占いをしている」などと言うと、どうにも決まりがわるくなる。真っ向から否定されたり、憐みを向けられる、というのが社会の一般的な反応でしょう。ライターの石井ゆかりは「占いという「アジール」」というエッセイの中で、ありがちな社会の反応が起こるのは占い(特に星占い)がもつ2つの特徴によるのだと述べています。
「星占いには、一切の合理的・理性的・科学的根拠がない。占いは、論理的には「自由意志」に背を向ける。」
あなたもまた、世界の“外側”に小さくささやかな避難所を作っていくことが改めてテーマとなっていくでしょう。
今週のてんびん座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
余計な執着をひっぺがすぞい
今週のてんびん座は、どんなにささやかな形であれ「精神の漂泊」を遂げていこうとするような星回り。
『紫陽花や流離にとほき靴の艶』(小川軽舟)という句のごとし。
作者45歳の頃の句で、当時サラリーマンを続けながら俳句結社の主宰を引き受け、俳誌の編集長としての業務もこなす忙しい日々を送っていたのだそう。ただ、おそらく、本人の胸の内には、何かと窮屈な会社勤めをやめてしまいたいという気持ちはずっと渦巻いていたのでしょう。
あなたもまた、作者がそうしたように、「憧れの対象」への自分なりのオマージュを捧げていくことがテーマとなっていくでしょう。